基調は確定した。最悪の世論が続いても彼が変わることはない。当分の間、この姿を見届けるしかない。
韓国代表を率いるユルゲン・クリンスマン監督は去る10月9日、坡州(パジュ)のサッカー国家代表トレーニングセンター(NFC)で行われた記者会見で、自身の信念と哲学、代表チームの運営案に関する考えを一つ一つ明らかにした。
もっとも、この会見は自身を取り巻く数多くの議論を一蹴し、改めて今後も自分が貫いてきた方式で働くことを宣言するという、なかば脅しをするような場となった。
特に物議を醸す頻繁な外遊、代表と関連のない海外出張について、クリンスマン監督は「世論やファンの心配は引き続き聞いている。どんな雰囲気なのかも知っている」と、自身への批判について理解しているとしながらも、次のように語った。
「私が常に話す代表監督の役割と、韓国サッカーファンが慣れたやり方はかなり異なるようだ。代表監督は国際的な活動をしなければならないと思う。私はKリーグの監督ではない。それが私の働き方だ。業務遂行方式は変わらないだろう」
韓国国内の世論や批判について、あまり気にしていない様子のクリンスマン監督。彼がキーワードとして提示した“国際感覚”という価値は我々も十分に理解できる。
問題はバランス感覚だ。クリンスマン監督は一方に傾き過ぎてしまっているのだ。
欧州組や国際的な潮流などについては強調し、詳しく言及しているが、Kリーグに関する話が出たとたん、抽象的な説明に移る。
この日の記者会見でも、欧州組以外にスカッドを満たすために必要な国内組を視察するべく、Kリーグを現地視察しなければならないという意見が出ると、指揮官は「試合はたくさんチェックした」という言葉で指摘を避けた。
さらには、「世代別代表の選手たちが重要だ。その選手たちが未来の代表の戦力だ」と述べ、聞かれてもいない世代別代表の選手たちをチェックしていることを強調した。
今回の招集メンバーを見れば、クリンスマン監督が国内組の比重をどの程度で考えているのかがよくわかる。
彼はコンディションやパフォーマンスが低下したKリーガーが含まれているという指摘に「十分共感する」と答えた。最上の状態にない選手を呼び出したことを認めた形だ。
そのうえで、「技術的な面も重要だが、今はアジアカップを控えて雰囲気を作ることも重要だ。選手間の利害関係も考えなければならない。今回の招集ではそのような点を多く考えた。アジアカップ優勝のための雰囲気を作らなければならない。このチームのリーダーたち、ソン・フンミン、キム・ミンジェ、イ・ジェソン、ファン・インボムたちの観点から、技術的なこと以外の部分を考えなければならなかった」と強調した。
ほかのどんな要素よりも、中心選手、特に欧州組の意見と彼らとの“相性”が重要であるだけに、選手たちの好みで選抜するという方向性を垣間見ることができる発言だった。
クリンスマン監督がKリーガーの比重をどれだけ低く見ているのかがよくわかるポイントでもある。
代表は短期間のみ招集されるチームであり、戦術的完成度を高めることが難しいという特性がある。
選手たちの能力を最大限高めることも監督の技量であり、主要な課題だ。であれば、現在のクリンスマン監督のやり方は3カ月後に迫ったアジアカップにポジティブな影響を及ぼすかもしれない。
ただ、問題は誠意や態度だ。
選手間の連携が重要であるのは百も承知だが、ただ選手の観点のみで選考してしまうのは一種の職務放棄と言える。
監督自ら、新鮮な選択肢やオプションを提示せず、「継続性が重要だ」とだけ話し、知っている顔を選び続けるのは無責任だ。
2022年カタールW杯で韓国をベスト16に導いたパウロ・ベント前監督は、欧州組の比重や世代別代表の重要性も知らずにKリーグの現場を歩き回ったのではない。
1~2人でもチームに役立つ選手がいれば選出し、チームに合うかどうかを確認する過程を経るなど勤勉に働いていた。だが、クリンスマン監督は明らかに自分が楽なやり方で働こうとしている。
批判されていることは理解しながら、彼は依然として正確な理由をわかっていないようだ。
クリンスマン監督がこのように公に準備された席で確信を持って発言したのを見るに、韓国サッカー協会(KFA)にはクリンスマン監督を統制する意思がないと見なければならない。
この程度であれば、KFAもクリンスマン監督の行動をただ傍観する方針を固めたと言って良い。
契約当時は韓国国内常駐を条件に掲げ、堂々と発表していたはずのKFAは、わずか7カ月でクリンスマン監督の契約違反に近い行為を傍観する羽目になった。
クリンスマン監督を統制しなければならないKFAが手を引いたのだから、中間評価の場となる来年のアジアカップまでは彼のやり方をただ不便に見守るしかない。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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