ラケット破壊、握手拒否など“非マナー”行動で物議を醸した韓国男子テニス選手のクォン・スンウ(25)が、アジア大会ダブルスで日本勢に勝利後も謝罪に徹した。
クォン・スンウは9月27日(日本時間)に行われた杭州アジア大会のテニス・男子ダブルス準々決勝にホン・ソンチャン(25)と出場。日本の羽澤慎治(24)、上杉海斗(28)に2-0(6-2、6-4)で勝利した。
試合後、報道陣の取材に応じたクォン・スンウは「数日前に行われたシングルス2回戦のサムレス選手との試合で、成熟ではなかった行動、不必要な行動をしました。失望した国民の皆様、海外にいらっしゃる多くの方々、タイにいらっしゃる方々に謝罪いたします」と頭を下げた。
続けて、「サムレス選手もとても不快だったと思います。この場でもう一度謝罪いたします。試合中に感情が傷つくことはありますが、自分自身がしっかり判断をすべきでした。自分自身、とても興奮していました。実力で負けました申し訳ございません。してはいけない行動をしてしまいました」と繰り返し謝罪した。
クォン・スンウが謝罪したのは、去る25日に行われた男子シングルス2回戦での“非マナー”行動だ。
当時、彼は自身より世界ランキングが500位以上も低いカシディット・サムレス(22、タイ)に1-2で敗れ、まさかの初戦敗退を喫した。
直後、クォン・スンウは怒りを抑えきれなかったのか、手に持ったラケットを強く地面に叩きつけて破壊した。それだけでは収まらず、ベンチにも数回ラケットを叩きつけた。
さらに、対戦相手のサムレスが自身に握手を求めたにもかかわらず、クォン・スンウはそれを無視した。サムレスはおろか、審判とも握手をしなかった。彼は基本的なマナーを忘れていた。
個人でツアーを戦っているわけではなく、韓国国旗を胸につけて国家代表としてアジア大会に出場している。彼の行動を海外メディアも大きく取り上げ、国内でも「国家的な恥だ」と痛烈な批判が飛んだ。海外のファンもクォン・スンウに非難を浴びせた。
結局、クォン・スンウは試合翌日の26日にサムレスを訪れ、直接謝罪した。
韓国テニス協会によると、「クォン・スンウが午前中にタイ選手団の練習場を訪れ、相手に謝罪し、“試合を頑張れ”という話をした。相手も“大丈夫だ”と、お互いに上手く解決した」という。
ただ、両者間の和解だけでは済まされなくなった。
大韓体育会はチェ・ユン選手団長名義の声明文を発表し、「クォン・スンウ選手の非紳士的な行動に対して非常に遺憾に思う。今回の事案に対しては大会終了後、総合的な検討を通じて状況に合う適切な措置を取ることを約束し、もう一度、今回のことで失望された国民の皆様に深く謝罪申し上げる」と明らかにした。
韓国政府・文化体育観光部のチャン・ミラン第2次官も声を上げた。彼女は「太極マークを付けて出場する国際舞台であるため、国家代表選手としての責任感を持って試合に臨むことが必要だ。国民の期待に応えるフェアプレー精神を示し、二度と韓国選手団が遺憾な行動をしないことを願う」と厳しく批判した。
そんななか、クォン・スンウは26日に直筆の謝罪文を掲載した。
彼は「国家代表選手としてすべきではなかった軽率な行動をしてしまいました。国家代表の試合を応援するすべての国民の皆様と、会場にいらっしゃった観客の皆様に心からお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」とし、次のように続けた。
「私の無礼な行動で不快な思いをさせてしまったサムレス選手にも改めて心から謝罪いたします。心から後悔して反省しています。国を代表する国家代表選手として太極マークの重みを深く考え、責任感のある選手になれるよう省察し、すべての行動に慎重を期してまいります」
たった一度の“非マナー”行動が、政府次官が批判するまでに及ぶ大きな事態となった。それでもダブルスで勝利を収めることはできたが、クォン・スンウに笑顔はなかった。
クォン・スンウは「私の過ちによってパフォーマンスに支障があってはなりませんでした。シングルスでもなく、ダブルスです。(パートナーに)最大限被害を及ぼさないようにしました。試合に集中しました。何より、申し訳ないということしか申し上げることができません。まだ成熟ではありませんでした。そうすべきではありませんでした」と、再び謝罪を述べていた。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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