幸運が加味されたとはいえ、嬉しいゴールであることは間違いない。
今夏にデンマーク・スーペルリーガ入りを果たすや否や、得点ラッシュで好調ぶりをアピールしていたFWチョ・ギュソン(25、ミッティラン)が、ユルゲン・クリンスマン監督体制の韓国代表で初ゴールを記録した。
チョ・ギュソンは9月13日(日本時間)、英ニューカッスルのセント・ジェームズ・パークで行われたサウジアラビア代表との国際親善試合で先発出場。
前半31分にヘディングで先制ゴールを決め、チームを1-0の勝利に導いた。
韓国は今年2月末にクリンスマン監督が就任以降、国際親善試合5試合を行った間、わずか4ゴールにとどまった。それも半分の2ゴールをFWソン・フンミン(31、トッテナム)が決めていた。
クリンスマン監督は現役時代、世界的なドイツ代表ストライカーとして名声を博していた。
それだけに、クリンスマン監督の就任によって韓国の攻撃陣にどのようなノウハウが伝授されるのか期待を集めたが、ここまでその効果は薄かった。
ストライカーで得点を記録したのは、1-1で引き分けた6月のエルサルバドル代表戦でゴールを決めたFWファン・ウィジョ(31、ノリッジ・シティ)しかいなかった。
クリンスマン監督は就任以降、3月、6月、9月と続いた3回の招集でいずれも攻撃陣のメンバーを変えなかった。チョ・ギュソン、ファン・ウィジョ、FWオ・ヒョンギュ(22、セルティック)の「欧州組三銃士」に大きな信頼を寄せていた。
ただ、これまでストライカーの活躍が目立たず、彼らも負傷問題に苦しんだだけに、今回の招集では国内Kリーグ1(1部)で得点ランキング首位を走るFWチュ・ミンギュ(33、蔚山現代)など新戦力を呼ぶべきという声も出ていた。
それでも、クリンスマン監督は既存の3人を信頼した。
ただ、去る8日のウェールズ代表戦ではチョ・ギュソンが先発出場、ファン・ウィジョも途中出場したが、2人とも枠内シュートを打てず、結局0-0の引き分けに終わった。
クリンスマン監督はこれまでの5試合で、毎試合ごとに先発起用するストライカーを変えていた。ただ、今回のサウジアラビア戦では初めてチョ・ギュソンを2試合連続で先発出場させた。
クリンスマン監督は直近5試合で勝利がなかっただけに、サウジアラビア戦に死活をかけていた。チョ・ギュソンに限らず、ウェールズ戦の先発メンバー11人中10人を今回も投入した。それだけ試合感覚などを意識した選択だった。
そして、チョ・ギュソンの決勝弾で1点差の辛勝を収めたことで、クリンスマン監督はようやく初白星に成功した。
2023年シーズン前半までKリーグ1の全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースに在籍したチョ・ギュソンは、今夏にミッティランに移籍して欧州進出の夢を叶えた。デンマークリーグ開幕後は3試合連続でゴールを決めるなど、初挑戦ながら上場の活躍を披露していた。
最近ではハムストリング負傷で離脱した期間もあったが、代表ウィークを控えて戦列に復帰し、アシストを記録するなど本来のコンディションを取り戻しつつあった。
前回のウェールズ戦ではこれといったチャンスを得られなかったが、サウジアラビア戦では激しい駆け引きのなか、ヘディングで貴重なゴールに成功した。
チョ・ギュソンが代表でゴールを決めたのは、昨年のカタールW杯グループステージ第2節のガーナ代表戦以来、10カ月ぶりのことだ。当時も頭で2ゴールを決めていた。
デンマークでも強靭なフィジカルを武器に空中戦で強みを発揮していたチョ・ギュソンは、クリンスマン監督体制で遂に初ゴールに成功し、代表のストライカー争いで一歩リードすることになった。
何より、ピッチ内外の問題や批判などによって一時は「解任論」も浮上したクリンスマン監督を救うゴールとなっただけに、記憶に残る試合になったはずだ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.
前へ
次へ