カタールW杯は3年後の2022年に行われる。
パウロ・ベント監督率いるサッカー韓国代表は、レバノン遠征で結果だけでなく、内容まで振るわなかった。不安定なグループ首位の現状に、韓国サッカーファンが怒っている。
特に、あまりにも同じような選手起用を変えなければならないという指摘が多い。
韓国代表は去る11月14日、アジア2次予選・第4戦レバノンと行ったアウェー戦に0-0で引き分けた。10月の北朝鮮戦に続く2試合連続のスコアレスドローだ。
韓国は勝ち点8でグループHの首位をキープしているが、北朝鮮(勝ち点7)、レバノン(勝ち点6)、トルクメニスタン(勝ち点6)の3チームから猛追を受けている。トルクメニスタン、北朝鮮、レバノンとの残り3試合はすべて韓国のホームゲームで行われるため、幸いではある。
しかしベント・コリアの実力自体が低下し、まともな準備がない場合は、2次予選で大きな恥をかく可能性もゼロではない。もし2次予選を通過しても、最終予選で苦戦することもありえる。
現在、韓国代表にはソン・フンミン、ファン・ヒチャン、イ・ガンイン、ファン・ウィジョなど、ヨーロッパで認められている攻撃のリソースが多数いる。これまで以上に豪華な選手たちで、アジア諸国では珍しいといっていい。
ただ、いざ韓国代表として試合をすると、その姿が見えない。だからといって激しいレギュラー争いが繰り広げられることもない。
韓国サッカー界では、「すでにカタールW杯最終エントリーが決まったのではないか」という言葉まで出ている。ワールドカップ本大会は、まだ先だ。今回のカタールW杯の場合、冬に開催時期が移動されているため、3年も残っている。チーム内での競争の原理が働く必要がある時期が、まさに今だ。
韓国は11月19日、ブラジルとアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで親善試合を行う。親善試合であるため、結果に対する負担はほとんどない。しかしブラジル戦に関係なく、ベント監督の中間評価を冷静にしなければならないという認識が高い。
ベント監督はインタビューで「私たちのサッカー哲学」という言葉をよく使う。所属チームでの出場時間や現在のコンディションに関係なく、目指すポゼッションサッカーを実現することができる選手を選んで、過去1年2カ月間トレーニングして本番に臨んだ。
しかし北朝鮮戦とレバノン戦の苦戦を通じて、ベント監督の哲学は哲学ではなく、ただの頑固に過ぎないという評価を受けようとしている。
ベント監督は試行錯誤を経て、4-1-3-2フォーメーションを原則として使っている。ファン・ウィジョ、ソン・フンミンの1992年生まれの同い年が不動のツートップだ。
問題は2列目なのだが、ベント監督は9月のトルクメニスタン戦、10月の北朝鮮戦でナ・サンホとイ・ジェソン、ファン・インボムを先発起用した。今回のレバノン戦では、昨年の怪我まで起用してきたナム・テヒをナ・サンホの代わりに使った。
問題は、彼ら3~4人が格下のスリランカ戦を除いて、大きな威力を発揮できなかったという点だ。
ソン・フンミンが1~2列目を行き来しながら、アシストと守備といった献身的なプレーに重点を置かざるを得ない理由は、2列目の選手たちの突破や果敢なシュートが不足しているからだと解釈することができる。トルクメニスタン戦のナ・サンホの先制ゴール以外、目立った活躍がない。
ベント監督はレバノン戦の前半に苦戦すると、後半に入ってファン・インボムとナム・テヒ、イ・ジェソンを順番に外して、ファン・ヒチャンとキム・シンウク、イ・ガンインを投入する勝負に出た。しかし後半に入ってピッチへの適応から準備する必要があった交代メンバーたちが、力強い動力とならなかったことは当然だろう。
ファン・ヒチャンとイ・ガンインは、ソン・フンミンと同じくUEFAチャンピオンズリーグで活躍する“コリアン・トリオ”の2人だ。キム・シンウクは中国スーパーリーグで、世界的なストライカーたちと肩を並べている。
ナ・サンホ、ファン・インボム、ナム・テヒも立派な選手ではあるが、彼らはそれぞれ日本、カナダ、カタールでプレーしている。ベント監督の哲学が危機に直面したのであれば、競争を通じて突破口を見つけなければならないが、常に同じ選手だけが起用されているため問題解決がされずにいる。
専門家は、Kリーグで最高の活躍を繰り広げているキム・ボギョンや、全北現代でアップグレードされたムン・ソンミン、パスとキックが良い済州ユナイテッドのユン・ビッカラムなど、2列目を担えそうな国内組の選手を挙げている。
ベント監督の全体的な哲学は尊重しなければならない。しかし、すでにワールドカップ本大会エントリー23人を決め付けたような固定した選手構成には、変化が必要だという指摘が尽きない。
カタールW杯まで、まだ3年も残っている。哲学のなかの変化、原則のなかの臨機応変が求められている。
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