かつて阪神タイガースでも活躍した呉昇桓(オ・スンファン/40、サムスン・ライオンズ)が、プロ19年目にして初の先発登板を果たす模様だ。
オ・スンファンが所属するサムスンは、本日(5月2日)から4日にかけて本拠地の大邱(テグ)サムスン・ライオンズ・パークでキウム・ヒーローズとの平日3連戦を戦う。
2日の先発は元東京ヤクルトスワローズのデビッド・ブキャナン(33)。そして、翌3日の先発投手としてオ・スンファンが登板するという。
これについて、サムスン率いるパク・ジンマン監督は本紙『スポーツソウル』に対し「最近、オ・スンファンのペースが思った以上に上がって来ない面がある。リリーフで短く投げるよりは、先発で送り出して長いイニングを投げさせ、球威を取り戻そうと思っている」と説明した。
続けて、「(オ・スンファンは例え不調でも)どうにかして活用し、使わなければならない投手だ。投手コーチの提案があり、やってみることにした。球数制限はないので、投げられるまで投げるべきだと思う。投げながら、自分の良かったときの感覚を取り戻してほしい」と伝えた。
これにより、オ・スンファンは2005年に大卒ルーキーとしてサムスンでプロデビューして以降、19年目にして初めて先発登板することになった。KBOリーグ通算620試合の出場で過去一度もなかった先発登板だ。
サムスンは過去にソン・ドンヨル監督やリュ・ジュンイル監督がチームを率いた時代にも、リリーフ投手を先発で送り出したことがある。
現在、サムスンの投手コーチを務めるチョン・ヒョンウクは、現役時代に先発登板を実際に経験した選手の一人だ。
チョン・ヒョンウクは2012年シーズン当時、開幕から6月7日まで防御率4.70と不振が続いていた。すると、先発エースのユン・ソンファンが太もも負傷で登板できなくなったことにより、6月8日の試合でチョン・ヒョンウクが先発登板した。
当時チームを率いたリュ・ジュンイル監督は、「チョン・ヒョンウクが先発登板を契機に良くなってほしい」と期待を示していた。
チョン・ヒョンウクは先発として4.2回6被安打、3四球、5奪三振、3失点と好投を見せた。4回まで無失点に抑え、打線が1点を挙げたことで勝利投手の可能性もあったが、5回に打ち込まれたことで降板を余儀なくされた。結局、この日の試合はサムスンが1-5で敗れた。
ただ、この先発登板以降からチョン・ヒョンウクは復活。翌日の6月9日から計算して、33試合35回で2勝2敗1ホールドの防御率1.80と、本来のパフォーマンスを取り戻した。
オ・スンファンにも同じような復活劇が期待できる。
来る7月に41歳の誕生日を迎えるオ・スンファンは、今季10試合10回で1勝1敗2ホールド4セーブ、防御率4.50としている。周囲からは「以前ほどではない」と衰えを指摘され、最近では抑えの座からも下ろされた。
だが、このまま終わらせるわけにはいかない。オ・スンファン本人は全力を尽くしており、サムスンも同じだ。そこで“先発登板”という強気の姿勢に出た。
簡単な選択ではない。オ・スンファンが慣れない先発登板で序盤から揺らいでしまえば、試合そのものが難しい展開になってしまうからだ。
そのようなリスクを甘受してまでも、オ・スンファンを活かすために多少強引な方法に出たサムスン。監督の口からは「活かさなければならない」という言葉も出た。それだけチーム内での存在感が大きい選手というわけだ。
チョン・ヒョンウク投手コーチがそうだったように、オ・スンファンにとっても先発登板は“神の一手”となり得る。
なお、連日の不振で“オ・スンファン引退説”も飛び出たという話に、パク監督は「開幕からもう1カ月たつのに何だ」と大きく笑っていた。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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