2010年代に韓国の世代別代表からA代表まで着実に選ばれ、活躍を続けていたチャン・ヒョンスは、2018年に兵役免除の特例と関連したボランティア活動の書類をねつ造したとして、代表資格の永久はく奪処分という重懲戒を受けた。
2022年カタールW杯で韓国をベスト16に導いたパウロ・ベント前監督も、就任初期はチャン・ヒョンスをDFラインの一角で重用していた。しかし、この懲戒によってこれ以上活用することができなくなった。
一方で、クラブでのキャリアは着実に築いている。2019年にFC東京からサウジアラビアの名門アル・ヒラルに移籍すると、守備のマルチロールとして活躍し、加入後3シーズン連続でリーグ優勝タイトルを獲得。さらには2019年、2021年と2度のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝を経験した。
これまでもアジア王者としてクラブワールドカップに出場してきたが、決勝の舞台に進むのは今回が初。それもキャリア初のFIFA主管大会の決勝で、相手は欧州屈指のメガクラブであるレアルだ。
クラブワールドカップにおけるアジア勢の歴代最高成績は、2016年の鹿島アントラーズ(日本)、2018年のアル・アイン(UAE)の準優勝だ。一方、レアルは大会通算最多となる4度の優勝記録(2014年、2016年、2017年、2018年)を保有している。アル・ヒラル相手に5年ぶり5度目のトロフィーを狙っている。
仮にアル・ヒラルが優勝すれば、チャン・ヒョンスはかつてマンチェスター・ユナイテッド所属で2008年大会優勝を経験したパク・チソン以来、史上2人目にクラブワールドカップ優勝を果たした韓国人選手となる。
はたして強力な攻撃陣を擁するレアルを防ぐことはできるのか、チャン・ヒョンスの活躍に期待したい。