アクシデントに対応できるのか。このままでは負傷者の発生で悲喜が分かれかねない。
7月27日に閉幕したE-1サッカー選手権で、韓国代表は主力とバックアップの格差を再確認した。
今大会には、海外組と一部Kリーガーが抜けた、事実上の1.5軍以下とも呼べるメンバー構成で臨んだ。香港と中国にはいずれも3-0で勝利したが、日本には0-3の完敗を喫し、自尊心を大きく傷つけられた。
パウロ・ベント監督が「日本の勝利が妥当だった」と認めるほど、一方的な内容と結果だった。
今回の“日韓戦”大敗が大きな意味を持っているわけではない。
元々、E-1選手権はテストの性格が強い大会だった。バックアップメンバーの技量を確認することが大会の目標だった。
韓国代表の主軸はある程度固まっている。
FWソン・フンミン(30、トッテナム)をはじめ、FWファン・ウィジョ(29、ボルドー)、FWファン・ヒチャン(26、ウォルヴァーハンプトン)、MFイ・ジェソン(29、マインツ)ら欧州組は、国際Aマッチ期間外の開催のため今大会には不参加。MFファン・インボム(25)も大会途中に離脱し、日本戦には出場しなかった。
このほか、MFチョン・ウヨン(32、アル・サッド)、DFキム・ミンジェ(25、ナポリ)、DFキム・ヨングォン(32、蔚山現代)、キム・スンギュ(31、アル・シャバブ)も本来の主力メンバーだ。
今回のE-1選手権に出場した選手では、左サイドバックのDFキム・ジンス(30、全北現代モータース)を除けば、W杯で主力としてプレーできるような人材はいなかった。
日本に敗れたことは残念ではあるが、“日韓戦”であること以上の意味を付与する理由はない試合だった。
敗北より深刻な問題は、主力とバックアップの格差がますます広がっていることを確認したという事実だ。こうなると、カタールW杯前に負傷者が発生した場合、大きな危機に直面する恐れがある。
サッカー選手というのは、常に負傷というリスクにさらされているものだ。
11月になると、国内Kリーグの選手はシーズン終了後のため、体力が底まで落ちた状態になる。欧州組はシーズン真っ只中のため、リーグ戦などでケガをする可能性がある。
特に、ソン・フンミンとキム・ミンジェはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)にも出場し、代表に合流することになる。常に負傷のリスクを考える必要のあるシナリオだ。
実際、前回の2018年ロシアW杯では、キム・ミンジェ、MFクォン・チャンフン(28、金泉尚武)、キム・ジンスといった主力が、大会前の負傷でメンバーを外れた。これこそ、韓国代表が最精鋭の戦力を構成できなかった決定的な原因だった。
ところが、ベント監督はこういったリスクを最初から考えていないように見える。
E-1選手権のような大会では、今後を見据えてバックアップメンバーの活用法を考えなければならないが、あまりにも安易な態度で日本戦を準備した。
その代表的な采配が、センターバックが本職のDFクォン・ギョンウォン(30、ガンバ大阪)を中盤の底で起用したテストだ。アンカーを本職とするMFキム・ドンヒョン(25、江原FC)を終盤に投入するつもりだったのであれば、あえてクォン・ギョンウォンのポジションを変える必要があったのかと、疑問を抱かざるを得ない。
結果的に、この実験が大敗の口実を提供した。むしろ、こういった試合のときこそ、意味のあるテストをするべきだった。
カタールW杯の開幕まで残り4カ月を切った。
ベント監督は“ベストイレブン”を早々に固定してチームをマネジメントしてきた。W杯の舞台ではアンダードッグの部類に入る韓国代表は、精鋭メンバーの組織力を極大化する作業が重要だ。
しかし、一方では負傷者発生のアクシデントに備えて、バックアップメンバーの技量を引き上げることもおろそかにはできない。
このままでは負傷者が1~2人出ただけで、韓国代表のW杯が“台無し”になる恐れがある。
戸惑うのはベント監督の姿勢だ。彼は試合直後のインタビューで、「主力でない選手たちが格差を縮めようとするだろうが、主力との格差を縮めるには困難が伴うだろう」と、やや無責任な発言をした。
W杯を控えて致命的な不安要素が明らかになった状況でも、これを解決する意志がないように見えた。もはや手をこまねいて、主力がケガをしないことだけを祈らなければならないような雰囲気だ。
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