グループFの山東泰山は1分3敗、2得点15失点で最下位。グループIの広州FCも4敗、0得点21失点で最下位。
これはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)東地区グループステージにおける現時点での中国勢の成績だ。
アジアの舞台で相次ぐ中国勢の猟奇的な惨敗に、大会の位相そのものが揺らいでいる。多くの中国メディアも連日、「恥ずべき惨敗」「中国サッカーのイメージを貶めている」と口をそろえるほどだ。
実際、近年の中国勢は「なぜACLに出場しているのか?」と首をかしげたくなるほど、大会における名分と実利をすべて失っている。
中国勢は新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年からACLに主力を除くリザーブチームを送り出している。
今年も当初は4チームが出場予定だったが、長春亜泰がプレーオフを、上海海港がグループステージを辞退。このため、昨季リーグ戦とカップ戦の“2冠”を達成した山東泰山と、ACLで2度の優勝を誇る広州FCの2チームのみが出場することになった。
しかし、中国国内のゼロコロナ対策によって、山東泰山と広州FCはトップチームの選手を国内に残し、新シーズン開幕を控える中国スーパーリーグに集中させた。そして、「若手選手の育成」という名分を掲げ、リザーブチームの選手を送り出すことになった。
もっとも、実際の試合では当初掲げた名分と全くかけ離れた内容と結果で、自国メディアから非難を浴び続けている。
グループIの広州FCは、かつて“アジア最強”を自負していたことが嘘であるかのように、同組のジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)に0-5、川崎フロンターレ(日本)に0-3、蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ/韓国)に0-3、0-5と大敗を喫した。
未来を見据えた若手の育成を掲げていると言っても、その若手選手本人たちがACLに合わせた準備過程を経たわけではない。事実上、“トップチームの穴埋め”で出場しているだけであるため、これといったモチベーションがあるわけでもない。
そのため、試合中は闘志のないプレーに終始し、大量失点を当たり前に受け止める態度が見て取れる。これはアジアのクラブチーム最強を決めるACLの価値を傷つける行為と相違ない。
一部では、中国勢に割り当てられたACL出場権「3+1」枠を「1」に減らそうという話まで出ているほどだ。
中国サッカーは近年、A代表も東南アジア勢の勢いに押されるようになり、この20年間でW杯本大会の舞台を踏むことができずにいる。
ところが、代表チームの最大の原動力となり、その役割を果たさなければならないはずの中国スーパーリーグの各チームが、ACLという権威ある国際大会で無責任な行動をとるのだから、自国メディアも非難せざるを得ない。
ACLにおける中国勢の歴史的惨敗の連続は、大会に出場している他国のクラブに対しても深刻な欠礼であると言えるだろう。
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