「ボールは丸い。チームで力を合わせてぶつかるのみだ」
浦項(ポハン)スティーラースのMFシン・グァンフン(34)は、チームのベテラン選手のなかでも特に海千山千を経験したベテランだ。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)も現在まで通算38試合に出場している。
ただ、そんなシン・グァンフンにとっても決勝の舞台は初めてだ。彼は準決勝の蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)戦で勝利した後、熱い涙を流し、キム・ギドン監督と深い抱擁を交わした。
「厳しいスカッドでここまで来た。(シン・)ジンホと抱擁したときは感情がこみあげてきた」というシン・グァンフンは、「監督にはとても感謝しているし、監督も“感謝している”と話してくれる。そのような感情が重なったようだ。決勝まで進めたことが嬉しかったというより、これまで苦労してきたことが思い出された」と当時を振り返った。
今シーズン、2006年の浦項入団からレンタル生活を経て2016年に退団して以来、5年ぶりに古巣へと復帰したシン・グァンフンは、「これまでの自分に80点ぐらいは与えられるのではないか」と話す。
それもそのはず、今季のシン・グァンフンは本職の右サイドバックというより、ほとんどの試合でボランチとして出場している。「これまでたまにプレーすることはあっても、ほぼ1シーズンを中盤でプレーしたのは高校以来初めてだと思う」と笑うと、「やりながら学ぶことも多く、序盤よりも慣れて楽になった。サイドバックとボランチとで連携面が違う部分はあるが、体力的には問題ない」と語った。
浦項が決勝で相まみえるアル・ヒラル(サウジアラビア)は、客観的な戦力で優位を占めていると見なければならない。元フランス代表FWバフェティンビ・ゴミス(36)、元ブラジル代表MFアンデルソン・タリスカ(27)、ブラジル人MFマテウス・ペレイラ(25)、マリ代表FWムサ・マレガ(30)のほか、MFサーレム・アッ=ドーサリー(29)などサウジアラビア代表も多く揃っている。
シン・グァンフンは「映像を見たが、やはり個々人の能力は優れている」としつつも、「かといって我々が太刀打ちできないわけではないと思う。我々はワンチームでサッカーをする。力を合わせて(アル・ヒラルを)相手にしなければならない」と強調した。
さらに、アジアサッカー連盟(AFC)は決勝が行われるキング・ファハド国際スタジアムの総座席数約6万8000席の全席開放を許容しているため、アル・ヒラルのファンの熱烈な応援とも戦わなければならない。
「さまざまな状況が起こりそうだ。試合が上手く行かないときもコミュニケーションを取るのは難しいと思う。前もって話をして備えたい」とシン・グァンフンは警戒した。
シン・グァンフンは最後に、「言葉通り最後だ。もう後はない。持っている力をすべて注ぐつもりだ。アル・ヒラルが有利だと言われているが、準々決勝の名古屋グランパス戦、準決勝の蔚山現代戦もそうだった。短期決戦であり、決勝の特性上、確率は50%と言える。ボールは丸いし、どうなるかわからない。最後までぶつかって見せたい」力を込めた。
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