なぜKリーグ7位の浦項がACL決勝に進出できたのか。“ピンチに強い”キム・ギドン監督の知略とは?

2021年10月24日 サッカー #ACL #Kリーグ

さすが“ピンチ脱出ナンバーワン”だ。キム・ギドン監督が繰り広げるサッカーはアジアの舞台でも通用することを証明した。

キム・ギドン監督率いる浦項(ポハン)スティーラースは10月20日、全州(チョンジュ)ワールドカップ競技場で行われたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝で蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)と対戦。120分間を1-1で終えた後、PK戦を5-4で勝利した。

最後に優勝した2009年以来、12年ぶりに決勝の舞台に上がった浦項。当時の優勝メンバーだったキム・ギドン監督は、今度は指揮官として優勝に挑むことになった。

キム・ギドン監督は「選手としてあの栄光の舞台に立てたときはとても良かった。ただ、監督として決勝に進出できたことに当時よりも感情がこみあげてきて嬉しい」と感慨深げに語る。

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(写真提供=韓国プロサッカー連盟)キム・ギドン監督

浦項は来る11月23日にサウジアラビアのリヤドで行われる決勝で、アル・ヒラル(サウジアラビア)と優勝トロフィーをかけた一発勝負を繰り広げる。

Kリーグ首位相手に主導権握る

Kリーグ1(1部)で7位の浦項がACL決勝に進出した秘訣は、短期決戦に強いチームのDNAが根付いていることにある。そして、その中心には浦項の血が流れるキム・ギドン監督の知略がある。

蔚山現代戦では、中盤の主力を担っていたMFシン・ジンホ(33)とMFコ・ヨンジュン(20)が累積警告のため出場停止だった。

そこでキム・ギドン監督は、即席で準備した“プランB”で彼らの空白を埋めた。キャプテンで左サイドバックのDFカン・サンウ(28)を活用した変則的な戦術を持ち出したのだ。

攻守にわたって活躍でき、連係プレーやクロスに定評のあるカン・サンウを基点に、浦項はサイドからのビルドアップを展開した。準々決勝の名古屋グランパス戦で2得点のFWイム・サンヒョプ(33)も、カン・サンウと同じサイドでシナジーを発揮した。

こうした戦術を用いたのも、蔚山現代の右サイドを担うFWイ・ドンジュン(24)が負傷で欠場したことにより、守備の負担が少なくなったためだ。

浦項は左利きのセンターバックであるDFアレックス・グラント(27)がスタートとなり、カン・サンウとイム・サンヒョプが蔚山現代のサイドに執拗に入り込み、序盤から試合の主導権を握った。蔚山現代のカウンターに対してはMFシン・グァンフン(34)とMFイ・スビン(21)が3バックの前に発ち、守備の安定を図った。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)カン・サンウ

この戦略は浦項に2つの効果をもたらした。

まず、蔚山現代の右サイドバックであるDFキム・テファン(32)はもちろん、MFウォン・ドゥジェ(23)など守備的な選手に心理的なプレッシャーを与えたこと。後半7分にはGKイ・ジュン(24)のミスから蔚山現代FWユン・イルロク(29)にゴールを許したが、序盤から優勢に試合を進めたことによって選手間で「できる」という信頼を得た。

そして後半22分、ウォン・ドゥジェが危険なタックルで一発退場となり、浦項が数的優位を獲得。その後、後半44分にグラントのヘディングゴールで同点に追いついた。

得点こそ生まれなかったものの、Kリーグ首位で昨季ACL王者の蔚山現代を相手に延長戦でも主導権を握り続けた浦項。PK戦では蔚山現代のGKチョ・ヒョヌ(30)相手にキッカー5人全員が成功した。

PK戦でも、キム・ギドン監督はクォン・ワンギュ(29)、キム・ソンジュ(30)、チョン・ミングァン(28)とチョ・ヒョヌのデータにないキッカーを送り出すなど、勝負師の気質を誇示した。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)決勝進出に歓喜する浦項の選手たち

ACL決勝進出で大いに盛り上がった浦項は、Kリーグ1ファイナルA争いにも自信を抱く“一石二鳥”の効果を享受することになった。

浦項は本日(10月24日)、ホームの浦項スティールヤードで行われるKリーグ1正規ラウンド最終戦となる第24節で仁川(インチョン)ユナイテッドと対戦する。

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