どんなスポーツだろうとプロの世界でベテラン選手は、毎試合のように綱渡りをしている。少しでも結果が出なければ世代交代という名の下に、レギュラーから外されることも珍しいことではない。年俸が高いベテラン選手になれば、さらにその傾向は強まる。契約期間終了が迫れば、どこからともなくトレードの噂も流れる。
チームの最古参であるテキサス・レンジャーズのチュ・シンス(36)も、常にそんな状況と向き合う。2~3年前から現在まで、そしてこれからもトレードの噂は絶えないだろう。
契約が終了する2020シーズンまで、チュ・シンスが結果を残しても、そうでなくても、彼をめぐるさまざまなトレードシナリオが出てくることは明らかだ。最近では、負傷者続出のニューヨーク・ヤンキースがチュ・シンスのトレード移籍を考えているという、現地メディアの主張もあった。
それに対してチュ・シンスができることは、特に何もない。スターティングメンバーは、選手ではなく監督が決める。トレードも選手ではなく、球団が主導する。チュ・シンスができることは、ただグラウンドで着実に結果を出し続けることだけだ。自らの価値を証明して居場所を確保し、チームの勝利に貢献することで、道は切り開かれる。
チュ・シンスも、それをよく知っている。
彼は昨年の冬、「他チームの選手や球団関係者も、私がどんな人間なのか噂や昔のチームメイトから聞いて知っている。“悪童”のイメージがあれば、トレードの噂も出ないだろう」と肯定的に自分の状況を受け止めた。
それとともにチュ・シンスは「もし他の球団が良い提案をしてトレードが成立すれば、そのチームに行って頑張ればいい。引退する前に、ワールドシリーズの舞台に一度は立ってみたい。どこでプレーすることになっても、チュ・シンスはチュ・シンス」と淡々と話した。
チュ・シンスは、メジャー15年目を迎える2019シーズンも健在だ。
開幕戦のラインナップから外れるという苦い経験をしたが、すぐに自分の居場所に戻ってきた。去る4月22日のヒューストン・アストロズ戦まで、打率0.329、出塁率0.440。リードオフマンとして、レンジャーズの攻撃を率いている。
レンジャーズもまた、チュ・シンスとジョーイ・ギャロ、そして期待を上回る投手陣の活躍によって、シーズン序盤の“異変のチーム”になった。まだ余りに早いが、打席に立つチュ・シンスの姿は、全盛期と比べても決して見劣らない。鋭い選球眼と自分だけの打撃ゾーンを武器に、休む間もなく出塁している。
チュ・シンスは昨年、初めてオールスターに選ばれる栄光に浴した。オールスターに選ばれたときは、打率0.293、出塁率0.405だった。現役最多連続出塁記録を打ち立て、オールスターに選出された。今の好調を維持すれば、今シーズンもオールスター出場の可能性が十分にある。
特に今年のオールスター戦は、チュ・シンスがメジャーリーガーへと成長したオハイオ州クリーブランドで開かれる。
シアトル・マリナーズ時代、なかなかチャンスを掴めなかったチュ・シンスは、2006年のトレードを通じてクリーブランド・インディアンスのユニホームを着た後、大活躍した。インディアンスにトレードされてから3年で、チーム最高の選手となり、トップクラスの外野手へと成長した。
【独占取材】チュ・シンス、プレミア12出場と韓国代表への意欲を語る!!
当時も、今も変わらず活躍し続けているチュ・シンス。オールスターのメンバーとして、クリーブランドに向かう瞬間を見つめている。
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