「ACL準決勝も無失点で…」
浦項(ポハン)スティーラースのGKイ・ジュン(24)は、2019年の入団から2年近く出場機会がなかったが、今シーズンに入りリーグ戦2試合、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1試合に出場している。
デビュー戦となった9月29日のKリーグ1(1部)第30節江原(カンウォン)FC戦は、自身の痛恨のミスから敗戦を喫した。ただ、その後出場した2試合ではいずれも勝利し、正守護神のGKカン・ヒョンム(26)の空白を埋めつつある。
浦項は10月17日、全州(チョンジュ)ワールドカップ競技場で行われたACL決勝トーナメント準々決勝の名古屋グランパス戦を3-0で勝利。イ・ジュンはこの試合でプロ初のクリーンシートを達成した。
特に、前半32分には失点してもおかしくない場面で驚異のスーパーセーブを披露した。ポーランド代表FWヤクブ・シュヴィルツォク(28)のシュートをDFカン・サンウ(28)が身を挺してブロック。こぼれ球をMF稲垣祥(29)が降り抜いたところを、イ・ジュンが体を投げ飛ばしてセーブした。
イ・ジュンのファインプレーのおかげで浦項は前半を0-0で折り返し、後半に3ゴールを決めて勝利に成功した。
イ・ジュンは試合を振り返り、「ボールが飛んでくるであろうスペースが見えた。体を投げ飛ばせば引っかかると思った。運もついていた。僕一人で防いだわけではなく、全員が助けてくれたおかげで失点しなかったと思う」と語った。
ACL初出場の試合で初のクリーンシートだ。「デビュー後初の無失点なだけに意味が大きい。ACL準々決勝という舞台は誰もが踏むことはできない場だ」とイ・ジュンは感慨深げに話す。
代表ウィーク前最後のリーグ戦となった3日の光州(クァンジュ)FC戦後、イ・ジュンは名古屋を徹底的に分析したという。
「コンディションを100%に作り上げるために努力した。名古屋の選手たちの特徴を覚えられるほど、たくさん映像を見た。そんな部分がパフォーマンスに役立った」
恐れていたミスもなく、チームも無失点で勝利した。それでも、イ・ジュンは「個人的には70点と評価したい」とし、「安定感を得て少し楽になったのは確かだ。ただ、キックミスやセンターバックとの連係ミスもあった。セーブをするというより、チームに上手く溶け込まなければならないと思う。満足とは言えない。改善していかなければならない」と、自身の課題を明らかにした。
最近では「むしろ良い」という言葉を好きになったというイ・ジュン。「(デビュー戦でミスをした)当時は大変だったが、そこでも“むしろ良い”と繰り返した。(これらの失敗を)教訓に上手くやればもう一段階成長できると思った」とし、「アマチュア時代にメンタルが弱いと評価されたことがあったが、周囲からは“メンタルが良い”と言われている。ポジティブに考えようと思う。メンタルは大丈夫」と笑顔を見せた。
負傷した足首の手術を終えてリハビリ中のカン・ヒョンムは、イ・ジュンに惜しげもなくアドバイスを送り続けているという。
「実は(試合出場が)正直怖いと思ったことがあった。でも、ヒョンム先輩は“お前を信じてチームを信じれば良い結果が出る”と言ってくれた。DFとお互いにコミュニケーションをしながら助け合わなければならない。キーパーがすべてのボールを防げるわけではないが、一瞬一瞬で集中したいと思う」
来る20日の準決勝で相まみえる蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)とは、“東海岸(トンへアン)ダービー”と呼ばれる因縁の関係を持つ。直近の対戦となった9月21日のリーグ戦では、カン・ヒョンムの代役でプロデビューしたGKチョ・ソンフン(23)のミスもあって1-2と敗れた。
「象徴性や重要性は選手たちもよく認知している。直前の“東海岸ダービー”はソンフンのミスがあったが上手くやれると思った。どの相手と対戦するからと言ってビビることはない。“できる”という気持ちで一丸となっている」と強調するイ・ジュンは、「無失点で終えたい気持ちが大きい。落ち着きと冷静さを維持してACL決勝に進みたい」と意気込んだ。
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