浦項(ポハン)スティーラースを率いるキム・ギドン監督が、名古屋グランパス戦を振り返るとともに蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)との準決勝に向けて意気込みを語った。
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10月17日、全州(チョンジュ)ワールドカップ競技場で行われたACL準々決勝。
浦項は名古屋グランパスを0-3で下し、2009年以来12年ぶりにベスト4進出を決めた。
簡単ではない一戦だった。特に、0-0で折り返した前半は名古屋に決定機を数多く作られた。
「自信のないプレーをしていたことについてハーフタイムで苦言を呈した」というキム監督は、後半に向けて以下のような指示を出したという。
「相手にプレッシャーをかけるタイミングについて話をした。1ゴールを決めれば名古屋が攻撃的に出てくると予想した。そこで空いたスペースを攻撃陣が狙おうと話した。そして運良く、我々が意図したとおりに相手が動いた。また、シン・ジンホを一列上げて攻撃的にしたことが“神の一手”となった」
実際、後半は打って変わって浦項ペースとなった。そして、FWイム・サンヒョプ(33)の2得点とMFイ・スンモ(23)のゴールにより、グループステージ1分1敗と苦杯をなめた浦項相手にリベンジを果たした。
MFイ・スビン(21)投入でポジションを一列上げたMFシン・ジンホ(33)も、攻守にわたり圧巻の存在感を見せつけチームを勝利に導いた。
準決勝の相手は蔚山現代。両チームの対戦は“東海岸(トンへアン)ダービー”と呼ばれ、20年以上も因縁のライバル関係が続いている。
ただ、今季ACLの準決勝が全州ワールドカップ競技場での中立開催ということもあり、どちらのホームでもない全州でダービーマッチが行われるという一風変わった対決となった。また、ACLで“東海岸ダービー”が行われるのも今回が初めてだ。
浦項はいつも重要な瞬間で蔚山現代の道を阻んできた。
2019年はリーグ首位の蔚山現代が最終節を引き分け以上で優勝決定という状況のなか、浦項がアウェーで4-1と粉砕。結果、裏の試合で勝利した全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースが蔚山現代を総得点数1点差で上回り、劇的な逆転優勝を果たした。
2020年にも、浦項はリーグ終盤で首位を走っていた蔚山現代に4ゴールを決めて大勝。これで蔚山現代は2位に転落し、全北現代に史上初のリーグ4連覇を許す形となった。ただ、今シーズンの浦項は蔚山現代に1分2敗と負け越している。
キム・ギドン監督とホン・ミョンボ監督は現役時代に浦項でチームメイトだった期間がある。当時は同じ部屋で宿泊したこともあったようだ。
偶然にも、準々決勝と準決勝を戦うため全州に乗り込んだ両チームは同じホテルを利用しているという。「浦項と蔚山現代がベスト4で対戦するとは思わなかった」というキム・ギドン監督は、「リーグ戦では私が3度譲歩したので、今度の勝利は私が持っていきたい。今度はヒョン(兄さん)が譲ってください」と豪快に笑った。
浦項にはアクシデントもある。主力のシン・ジンホとMFコ・ヨンジュン(20)が累積警告で準決勝に出場できないのだ。
それでも、キム・ギドン監督は「今シーズンはとても苦労してここまで(ベスト4)やってきた。選手がいないのであればいないなりにやるべきではないか」と淡々と語った。
行く道が激しい浦項だ。ACLも重要である一方、来る24日にはKリーグ1(1部)ファイナルA(上位グループ)進出可否が決まるレギュラーラウンド最終節も行われる。浦項はホームに仁川(インチョン)ユナイテッドと対戦する。
キム・ギドン監督は「仁川戦も本当に重要な試合だ。ある意味、(累積警告による欠場で)ジンホとヨンジュンが休めるには良いかもしれない」と持ち味のポジティブな考えを伝えた後、「もう一度頑張ってみたい」とファンに約束した。
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