韓国野球の“現在”を担うと同時に“未来”も期待されているイ・ジョンフ(22)が、頭の中に描いた想像を現実のものにしようとしている。
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本日(8月4日)、横浜スタジアムで日韓期待の若手同士による投打対決が繰り広げられる。
“日韓戦”を抜きにして国際大会の優勝は望めない。それは今回の東京五輪でも同じだ。韓国は本日行われる準決勝で、決勝進出をかけて日本と対戦する。
日本はエースの山本由伸(22)を先発に予告した。今大会最高の投手を相手にする韓国は、2年前のプレミア12のリベンジに成功してこそ、決勝に直行できる。敗れた場合、5日に行われる2度目の準決勝を通じ、再び決勝進出に挑戦することになる。
勝利こそがすぐにマウンドの安定をもたらす。本日の“日韓戦”で勝利することが、すなわち金メダルへの近道というわけだ。
もちろん、決して侮れない相手だ。日本は客観的な戦力で見ても、今大会最強と言って良いだろう。
韓国は2017年アジアプロ野球チャンピオンシップ以降、プロ選手同士で対戦した“日韓戦”4試合ですべて敗れている。2019年のプレミア12決勝で日本と対戦した際も、先制に成功しながら逆転負けを喫してしまった。
そして、このすべての敗北にイ・ジョンフがいた。イ・ジョンフは山本と同じ1998年生まれで、誕生日も8月17日生まれの山本と3日しか違わない8月20日。かつて中日ドラゴンズに所属し“風の息子”と呼ばれたイ・ジョンボムを父に持つ。父が中日で選手生活を送っていた頃に名古屋で生まれ、韓国に戻った小学生時代から野球を始めた。2017年には高卒ルーキーながらKBOリーグ新人王に輝き、その年には韓国代表にも選ばれた。
その後イ・ジョンフは、高卒ルーキーながらKBOリーグ新人王に輝いた2017年から韓国代表に選ばれ、現在まで代表に定着してきた。ただ、2018年ジャカルタ・アジア大会では日本を2度下したが、当時の日本は社会人代表と、イ・ジョンフはプロ選手で構成された侍ジャパンに一度も勝利した経験がない。
それだけに、なおさら敗北の苦い思い出は残っている。イ・ジョンフは今年6月中旬に代表入りが確定した後、「まだ国際大会で100%の戦力の日本に勝ったことがない。短期決戦はどうなるかわからない。ホームで試合をする日本の方が、かえってプレッシャーを感じていると思う。何より、今度こそ日本に必ず勝ちたい」と語っていた。
イ・ジョンフは日本に敗れたプレミア12決勝を昨日の出来事のように覚えている。「決勝戦最後の打席は今も鮮明に記憶している。あの勝負は忘れられない。球種もはっきりと覚えている」と話す彼は、「相手は僕と同い年の山本投手だった。それまでは一度も三振を食らわなかったのに、山本投手から三球三振を食らった。フォーク、カーブ、フォークと投げてきて、フォークは140キロ以上も出ていた。今回のオリンピックでは必ず対決して、あのときの借りを返したい」と声を高めた。
イ・ジョンフが成長を重ねて韓国プロ野球を代表する打者になったように、山本も日本最高の投手に躍り出た。プレミア12ではリリーフとして好投し、韓国の優勝を食い止めた山本は、東京五輪では先発1番手として活躍している。
150キロ中盤のファストボールや140キロのフォークを前面に出し、大谷翔平(27、ロサンゼルス・エンゼルス)に続く日本屈指の右腕投手として評価されている。
山本は、去る7月28日のドミニカ共和国との開幕戦で先発登板し、6イニングを投げて2被安打1四球9奪三振の無失点と自身の役目を果たした。今シーズンのプロ野球でも防御率1.82とキャリアハイが続く。
イ・ジョンフは、東京五輪で2番もしくは3番打者として出場している。“日韓戦”では山本と初回から対戦する確率が高い。
2019年プレミア12での初勝負では、イ・ジョンフがまともにバットを振ることすらできないままやられてしまった。だが、今のイ・ジョンフはより強く、より正確にヒットを放てる打者に生まれ変わった。
イ・ジョンフはここまで、東京五輪の4試合含む国際大会で打率0.329を記録中だ。去る8月1日のドミニカ戦では、1-3とリードされた9回裏、相手の剛速球投手ルイス・カスティーヨを相手に同点二塁打を放った。
韓国は日本のエースを超えられてこそ、勝利を掴みとることができる。過去の“日韓戦”もそうだった。
2000年シドニー五輪では、韓国は日本の“怪物投手”松坂大輔を破り、銅メダルを獲得した。当時は元巨人イ・スンヨプが8回に決勝2ラン本塁打を放ち、日本を下す名勝負を生み出した。
イ・ジョンフも21年前のイ・スンヨプのように、決定的な一発を放つ瞬間を待ち望んでいる。
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