練習試合であっても緊張感が出るものだが、読売ジャイアンツとKIAタイガースの練習試合は例外だった。
久しぶりに再会した友人同士がそうするように、和気あいあいとした雰囲気で、沖縄の気候のように温かった。試合前には記念写真も撮った。この一連の中心にキム・ギテ監督がいた。
読売ジャイアンツの選手らが先にキム・ギテ監督を探し始めた。
再びマスクをつけることになった阿部慎之助は、KIAダッグアウトまで訪問してあいさつを交わした。 阿部はキム監督に向かって親指を立てて格別な間柄であることを誇った。
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この日、阿部の訪問は一度にとどまらなかった。 試合直前、KIAのダッグアウトを再訪問し、「ボスはどこにいるのか」とキム・ギテ監督を再び訪れたのだ。話足りないのか、阿部は監督室のドアもノックした。
ジャイアンツのキャプテン坂本勇人は、グラウンドでキム・ギテ監督と向き合って明るい笑顔を見せた。話をしていた2人は、しばらくして両手を広げて抱き合い挨拶をした。
実はこのような気楽な姿は、キム監督が沖縄でジャイアンツ選手たちに会うたびにいつも行われている年中行事だ。
キム・ギテ監督がジャイアンツ選手らと親密な関係なのには、理由がある。
2007年から2009年まで読売ジャイアンツでコーチ生活をしたためだ。キム監督は当時も余裕のある人柄で選手を指導しながら、認められた。彼は読売ジャイアンツで2軍育成コーチと打撃コーチ補佐、2軍打撃コーチを務めた。外国人コーチ研修者が正式コーチになった初の事例だった。
人間味と指導力を兼備しているとして評価されたキム監督は、有望株中心で構成されたフューチャーリーグの指揮官も担当した。坂本も10数年前の新人時代にキム監督の指導を受け、今では読売ジャイアンツの看板選手になった。
ジャイアンツ選手らとあいさつを交わしたキム監督は、ホームチームのダッグアウトに足を運んだ。今シーズン、再び読売ジャイアンツの監督に就任した原辰徳監督が待っていた。
2人は親しい友人のように歓談を交わした。キム監督は、原監督が司令塔からしばらく退いたときも安否をやり取りし、原監督は2017年にキム監督がKIAの指揮官に就任したときにお祝いの電話をするなど、互いに緊密な関係を維持してきた。
この日、原監督と再会したキム監督は、KIAのコーチや選手たちを呼んで原監督に挨拶させ、紹介を受けた原監督も握手で迎えた。
この日の特別ゲストはKIAの有望株リュ・スンヒョンだった。キム監督が原監督に紹介したあと、原監督はリュ・スンヒョンに打撃指導をしたのだ。キム監督の要請で実現したサプライズ・イベントだった。
即席の野球レッスンだったが、原監督はいい加減な指導をしなかった。直接リュ・スンヒョンの体を触り、打撃フォームを指導し、自らも何度か直接見本を示した。原監督は主に下半身の回転と足の角度について集中的に指導した。
特にスイングを始める際の手首の移動について強調した。下半身の動きに先立ち、手首があらかじめ体の前に出てこそ、内側に対応できるという内容だった。キム監督も時々レッスンに加わったことで、両監督の合同レッスンが実現したわけだ。
原監督は、日本プロ野球通算382本塁打を放った読売のレジェンドだ。
試合直前、取材陣に会ったキム監督はリュ・スンヒョンが受けたレッスンについて「原監督に指導を受けるのは日本でも容易なことではない」と説明した。両監督の信頼がどれほど厚いかがわかる。
原監督のレッスンはすぐに効果を示した。リュ・スンヒョンはこの日、巨人の主戦が多く出場した試合で8回裏に2塁打を放った。9回裏には内野安打でマルチヒットを記録した。
リュ・スンヒョンは貴重な経験にふさわしい印象を残した。その始まりと終わりに、キム・ギテ監督がいた。
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