スペイン1部のバレンシアに所属するイ・ガンイン(19)は、10月18日に行われたリーグ第6節ビジャレアルとのアウェーゲームで、今シーズン初めて出場機会を得られなかった。ベンチメンバーとして登録されてはいたものの、最後まで出場することはなかった。
対戦相手のビジャレアルには日本代表の久保建英(19)が今季から所属しており、“日韓の至宝”対決として注目していた人も多かったのではないだろうか。
イ・ガンインが今季のリーグ戦で出場しなかったのはこの試合が初めてだ。直近5試合ではレバンテ、セルタ、レアル・ソシエダ戦で先発出場、ウエスカ、レアル・ベティス戦で途中出場を果たしていた。
今季はまだフル出場は一度もしておらず、試合終盤に投入された試合もあったが、90分を通してベンチを温めることはなかった。
何よりもリードを許している展開で、バレンシアのハビ・グラシア監督がイ・ガンインを選ばなかったということで、現在のチーム内での立場がわかる。イ・ガンインはゴールが必要なときにプラスとなる選手だ。直近5試合を見ても、バレンシアには彼ほど鋭く、創造的なプレーをやってのける選手はいないといっても過言ではない。
守備面ではあまり重宝されないのは事実だが、攻撃面を考慮するとイ・ガンインはジョーカーとしても切れるカードだ。グラシア監督は5人の交代枠をフルに使いながらも最後まで彼を選択せず、攻撃面ではデニス・チェリシェフとケビン・ガメイロを投入しただけにとどまった。
結果的にグラシア監督の采配は効果がなかった。この試合バレンシアは1-2で敗れ、2連敗となった。グラシア監督は「すべての選手が出場することはできない。他の解決策があると信じていた」と、イ・ガンイン不出場について説明したが、結果的に自分の決定の正しさを証明できなかった。
単純に1試合の欠場であれば問題ないが、今回の欠場がチーム内での序列低下をあらわすものならば、今後の不安要素になるかもしれない。
イ・ガンインは10月の国際Aマッチ期間、休息を取ってコンディション維持に努めた。代表チームに招集されず、他の選手に比べて体力的にも余裕があったはずだ。
開幕戦で活躍し、その後の試合でも着実に自分の実力を証明していたイ・ガンインにとって、非常に意味のある充電時間だったといえる。今回の試合はむしろ序列を引き上げる機会だったはずが、逆に出場機会を確保できないという予想外の状況に直面した。
一方、ビジャレアルの久保建英は64分に途中出場を果たしたが、72分、92分と立て続けにイエローカードをもらい、途中出場での退場というお粗末な結果となった。短い出場時間でゴールやアシストでの結果も残せず、“日韓の至宝”はともに不満の残る1戦となった。
イ・ガンインはチームが出場時間を保証するということを前提に残留したはずだったが、現時点ではその選択が正解だったとはとうてい断言できない。
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