森保ジャパンも警戒すべき現地事情だ。北中米ワールドカップ開催地で数々の“変数”をいち早く経験した蔚山HD FCの韓国人指揮官が、母国代表にアドバイスを送った。
現在アメリカで開催中のクラブワールドカップは、来年に行われる北中米ワールドカップのプレ大会としての意味合いを持つ。今大会出場クラブが使用したベースキャンプ地の練習施設や試合会場は、いずれも来年の北中米ワールドカップでも稼働される。
クラブワールドカップに韓国から出場した蔚山HDは、ノースカロライナ州シャーロットにベースキャンプを置き、フロリダ州オーランド、ニュージャージー州イーストラザフォード、オハイオ州シンシナティを行き来してグループステージ3試合を戦った。
その中で直面したのが、猛暑や落雷といった“気候リスク”だ。日中の気温が30度を大きく超え、体感温度が40度近くに迫ることは予見されていたが、落雷は想定外のアクシデントだった。
特に、6月18日(日本時間)にオーランドで行われたマメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)とのグループステージ初戦では、試合直前に近隣地域で落雷が検知され、すでに一度入場した選手たちはロッカールームへ引き返した。結局、キックオフは65分遅れとなった。
アメリカの安全規定では、13km(8マイル)以内に落雷予報が出た場合、30分間の中断措置が執られる。その間に落雷が無ければ再開されるが、再び落雷が確認された場合はさらに30分待たなければならない。
蔚山対マメロディのほか、ザルツブルク(オーストリア)対パチューカ(メキシコ)も後半途中の落雷で90分以上中断した。オークランド・シティ(ニュージーランド)対ベンフィカ(ポルトガル)も落雷の影響で試合がストップした。
もっとも、メジャーリーグサッカー(MLS)では至って日常的な事象のようだ。現地で会ったMLS関係者も「慣れている」といった反応だった。
それでも、他国の選手にとっては戸惑うしかない。韓国代表としてワールドカップ3大会を経験した蔚山キャプテンのDFキム・ヨングォンは、「(落雷による中断は)サッカー人生で初めての経験だ。最初はなぜ(ロッカールームに)戻るのかもわからなかった」と驚きを語り、GKチョ・ヒョヌも「集中力が高まったタイミングで再び(ロッカールームに)戻ったことで、体が急にぐったりした感覚だった」と振り返った。
蔚山を率いるキム・パンゴン監督は「落雷による試合中断はパフォーマンスに大きな影響を与える。試合が中断されると選手は集中力を失う。再びウォーミングアップをして試合に臨まなければならないが、(中断されると)困難が伴う」とし、「韓国代表は(北中米W杯本番で)その時間を上手くマネジメントし、再スタートした際に利点を得られるように考えなければならない」と助言を伝えた。
また、芝生の問題も指摘した。韓国国内では寒地型芝が一般的だが、アメリカでは暑さに強い暖地型芝が使われている。「ピッチが人工芝のように短く、滑りやすい。どのように対応すべきか研究する必要がある」と指揮官は付け加えた。
なお、蔚山は26日に行われたグループステージ第3節でドルトムントに0-1で敗れ、3連敗のグループ最下位で大会を終えた。キム監督は「世界との格差を痛感した。クラブワールドカップで競争力を持つには戦力補強が必要だ」と振り返りつつ、「クラブも大会を通じて得た者が多かったはずだ。選手たち自身もチャレンジの意識を持っていることも肯定的だ」と大会を総括した。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.
前へ
次へ