山東泰山の“撤退”でAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)が混沌に陥るなか、当日に試合中止となった蔚山(ウルサン)HD FCが損害賠償を請求するようだ。
アジアサッカー連盟(AFC)は2月19日、同日19時より韓国の蔚山文殊(ウルサン・ムンス)サッカー競技場で開催予定だったACLEリーグステージ第8節の蔚山HD対山東泰山を控え、「山東泰山のACLE撤退」を発表した。
AFC公式ホームページに掲載された声明には、「AFCはACLEの大会規定第5.2条に基づき、山東泰山が蔚山との試合に出場する意思がないことを確認し、ACLEから撤退したとみなされることを認める」と記されていた。
ACLEの規定によると、棄権したチームが出た場合、当該のチームと対戦した公式戦結果が無効となる。ここで最も大きな問題は、山東泰山と「対戦したチーム」「対戦していないチーム」の両方が存在するため、“公平性”が議論となる点だ。
代表的な例として、昨年11月6日の対戦で山東泰山に4-2で勝利していた浦項(ポハン)スティーラーズは、同試合の勝利による「勝ち点3」が無効となり、2勝5敗の勝ち点6で9位となった。
一方、浦項より下の順位にいた上海海港は同国により山東泰山と対戦しなかったため、2勝2分4敗で勝ち点8を記録。決勝トーナメント進出圏内の8位に入った。
ACLEのリーグステージでは、12チームが抽選で8チームと対戦し、上位8チームが決勝トーナメントに進出する。
ただ、AFCは棄権に関する規定があるだけで、「試合数の不一致」に関する規定はない。今回の騒動によって、AFC内部でもさまざまな意見が交わされたという。
何より、19日に山東と対戦予定だったホームチームの蔚山は少なくない被害を受けた。
蔚山は第8節前の時点で1勝6敗の勝ち点3とし、すでにリーグステージ敗退が確定した状況だった。とはいえ、ホームゲーム開催準備にかかった費用が存在するのは事実だ。
結論が「山東泰山の没収試合」であれば勝利ボーナスを受け取ることもできただろうが、AFCの規定上、公式戦が開催されないまま終了すれば、チケット代など一円も受け取ることなく損害だけを被る。
そのため、蔚山はKリーグを主管する韓国プロサッカー連盟の協力を得て、AFCを通じて山東泰山に対する損害賠償請求などを準備しているという。
山東泰山は当初、大会撤退の理由として「選手の健康問題」を挙げた。しかし、中国の一部メディアは、今月11日に山東泰山ホームの光州(クァンジュ)FC戦で発生した観客の“政治的行為”が関連していると推測している。
山東泰山が3-1で勝利した当時の試合中、一部の観客が全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領の顔写真を掲げる政治的行為を犯し、光州のファン・サポーターを刺激した。これを受けて光州FCはAFCへ公式に抗議し、山東泰山は謝罪した。
そして今回、アウェイ韓国で再びKリーグ勢と対戦するにあたり、山東泰山のクラブ内外で報復性行動などを懸念したという声も出ている。
なお、山東泰山の大会撤退によって、Kリーグ勢で唯一決勝トーナメントに進出した光州FCの1回戦の対戦相手も変わった。
光州FCは山東泰山戦以外の7試合で4勝2分1敗の勝ち点14(得失点差+6)を記録し、4位に。本来はジョホール・ダルル・タクジムとの対戦が見込まれていたが、同チームが4勝2分1敗の勝ち点14(得失点差+8)で3位に浮上。代わりに、山東泰山戦の勝利が無効となり、4勝1分2敗の勝ち点13で5位に落ちたヴィッセル神戸が、光州FCの対戦相手に決定した。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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