今月に東京ドームで開催される「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」で、井端弘和新監督率いる侍ジャパンの前に韓国代表の“2人の天才”が立ちはだかる。
アジアプロ野球チャンピオンシップに出場する韓国代表は、去る11月5日からメンバーが招集された。宿舎に集まってオリエンテーションを行い、翌6日から練習を開始した。
メンバーには投手ムン・ドンジュ(19、ハンファ・イーグルス)と内野手キム・ドヨン(20、KIAタイガース)、ともに2003年生まれで光州(クァンジュ)出身の有望株も選ばれている。
ムン・ドンジュは直近の杭州アジア大会に続き、今回も代表に選ばれた。アジア大会では2試合に登板して好投を披露し、韓国の金メダル獲得に大きく貢献した。
特に、台湾との決勝では6回無失点と優れたピッチングで、優勝への道を切り開いた。
一方、キム・ドヨンは杭州アジア大会のメンバーから外れた。実力が足りなかったわけではないが、同じポジションに錚々たる選手が揃っていた。
韓国プロ野球KBOリーグでは84試合出場で打率0.303、7本塁打、47打点、25盗塁、OPS(出塁率+長打率)0.824を記録した。負傷の影響もあり多くの試合に出場したわけではないが、記録自体はプロ1年目の昨季と比べて確実に良くなった。
これにより、アジアプロ野球チャンピオンシップで念願の代表に選ばれた。韓国率いるリュ・ジュンイル監督は、キム・ドヨンを三塁手で考えている。
2人とも、高校時代は“全国トップクラスの逸材”と呼ばれた。それぞれ「高校最高の投手」「高校最高の打者」の別名が付けられた。
何より、ムン・ドンジュもキム・ドヨンも光州で生まれ育ち、光州の学校に通った。プロではお互い別の球団に入団したが、今回、同じ代表ユニホームを着て一緒にプレーすることになった。
韓国のほかオーストラリア、台湾、日本が出場するアジアプロ野球チャンピオンシップは、若手選手がメインに出場する大会だ。各国の“未来”同士が激突する大会と言って良い。今大会に限らず、今後も代表の舞台で戦うことになる相手だ。誰しも負けたくはないはずだ。
「自分のことを世界に知らせて来る」と強く意気込んだキム・ドヨンは、「何か一つ大きなことを成し遂げれば、知らせることができるのではないか。もちろん、意識はしない。ずっと想像だけしている。大事な瞬間に怪我することなく、何か一つやり遂げたい。重要な瞬間に打ってみせたい」と力を込めた。
日本戦に対する期待も示した。
キム・ドヨンは韓国国内で「第2のイ・ジョンボム」と呼ばれている。かつて中日ドラゴンズにも在籍したレジェンドは、日本相手に強さを見せた選手でもあった。キム・ドヨンもその後に続こうとしている。
「先輩たちから“日本の投手を一度経験してこい”と伝えられた。自分も気になっている。映像で見たところ、ボールがとても良かった。一度打ってみたい。確実な目標がある。成長して戻ってきたい」とキム・ドヨンは語った。
そして、「国家代表チームに選ばれてここに来た。全員が目標を持っている。オーストラリア、台湾、日本のどの国からも実力ある選手が出てくる。多くを経験して戻ってきたい」と覚悟を伝えた。
ムン・ドンジュも同じ思いだ。
「シーズンを終えてゆっくり休んだし、アジアプロ野球チャンピオンシップの準備も少しずつした。休み過ぎてしまっていないか心配にもなる。休息を取った分、結果が出ることを願っている。きっと上手くできると思う。恐れることはない」というムン・ドンジュは、日本の東京ドームでの大会を控えこう語った。
「東京ドームの満員の観客の前で投げてみたい。人々が詰めかけた地で投げたいと思っている。自分の力でできることではないが、自分の認知度が高ければ、いっぱいになるかもしれない」
そう笑顔で述べたムン・ドンジュは、続けて「ひとまず投げてみなければわからない。10月7日のアジア大会決勝で投げて、今日が11月7日だ。明日(8日)の尚武戦にも登板する。自分の思う通りに投げなければならない。100%ではないかもしれないが、それに近づかなければならない」と強調した。
また、“日韓戦”での登板可能性について問われると、「参加国はどこも自分について戦力分析をするのではないだろうか。よい成績を収めたい。“韓日戦”に出場することになれば、すべてを注ぎ込まなければならない。アジア大会の決勝よりもさらに切実に投げなければならない」と意気込んだ。
大会を控え、代表の雰囲気は良い。調子も徐々に引き上げられている。ポストシーズンを終えてすぐに合流した選手たちの疲労が懸念されるが、今のところ大きな問題もなく大会を準備している。
リュ・ジュンイル監督は「簡単な相手はいない」と強調したが、それでも目標は頂点のみだ。“最強”とされる日本を破り、金メダルを首に掛けようとしている。
ムン・ドンジュが投げ、キム・ドヨンが打つ。韓国野球の次世代を担う2人の天才が、揃って東京の地に立つ。自らの存在を広く知らせる絶好の機会だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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