クリンスマン監督は、2022年カタールW杯で韓国代表を3大会ぶりベスト16に導いたパウロ・ベント前監督の後任としてチームを率いる。負担は大きくならざるを得ない。
それは、単に前任がW杯で好成績を収めたからではない。
ベント前監督は選手たちから全面的な信頼を受けながら、自らのリーダーシップを十二分に発揮してチームをけん引した指導者だった。外部ではベント監督に対する疑問や指摘が絶えなかったが、チーム内部での信頼は強固なものだった。
選手たちはベント監督との別れに涙を流すほど、両者の関係性は深かった。カタールW杯までの4年間、韓国代表の道のりを支えた最も強力な原動力だった。
初陣に臨むクリンスマン監督の最大の課題も、まさに“信頼構築”だ。試合内容や結果よりも、いかに一つのチームとして“ビルドアップ”するかが重要だ。
クリンスマン監督は今回、カタールW杯のメンバーを主に招集した。負傷中のFWファン・ヒチャン(27、ウォルヴァーハンプトン)やDFホン・チョル(32、大邱FC)、DFユン・ジョンギュ(25、金泉尚武)が外れ、代わりにW杯予備エントリーだったFWオ・ヒョンギュ(21、セルティック)、そしてDFイ・キジェ(31、清水エスパルス)が加わったメンバー構成で国際Aマッチ2試合を戦う。
W杯メンバーはベント前監督の戦い方に慣れている。正しく言えば、“ベント体制”の練習セッションやフィジカル管理、戦術構築などを4年以上経験した選手たちだ。ベント前監督は体系的でディテールなプログラムを通じて選手の信頼を得た。
また、現代表の主力選手たちは、所属チームで高度に現代化された管理を受けている。FWソン・フンミン(30、トッテナム)をはじめ、DFキム・ミンジェ(26、ナポリ)やMFイ・ジェソン(30、マインツ)、MFイ・ガンイン(22、マジョルカ)などの欧州組は、先進的なコーチングスタッフの管理下でシーズンを過ごしている。
すなわち、クリンスマン監督が選手たちの信頼を獲得するためには、最初の招集からレベルの高い練習セッションはもちろん、細かく明確なサッカー哲学などを示さなければならない。中途半端にしてしまえば、初対面から選手たちが疑問符を抱きかねない。