韓国代表は2勝2敗の3位で、3大会連続1次ラウンド敗退という屈辱に終わったが、イ・ジョンフ個人の活躍は輝いた。
全4試合に出場したイ・ジョンフは打率0.429(14打数6安打)、5打点、OPS(出塁率+長打率)1.071を記録し、日本国内はもちろん世界の野球ファンから注目を浴びた。
そもそも、イ・ジョンフはWBC開幕前のオフシーズンに、今後のメジャー進出を意識して打撃フォームの修正を行っていた。
そのため、「まだ打撃フォームが完璧になったというには打席数が少なすぎる。以前のフォームでは3000打席以上打ったが、現在のフォームでは30打席程度しか打っていない。当然、まだまだ積み重ねが足りないと思う。WBCでももっと多くの試合を戦いたかった。だから、(WBC終了直後も)いち早くオープン戦に合流したかった」とし、「まだ満足していない」と本心を明らかにした。
ただ、それでも4打数2安打1打点の活躍で、韓国代表唯一のマルチヒットを記録した日本戦のパフォーマンスについては多少の満足感を示した。
「チェコや中国の投手を相手に打ったからといって良いとは言えない。WBCでは強力な投手と対戦したかったし、そのような投手と出会えた試合は日本戦が唯一だった。
日本戦では、アウトになったが上手く打つことができた打球もあったし、準備していたことを上手くできたと思う。それは小さな成果と言えるだろう」
そんなイ・ジョンフは、実際に“日韓戦”で戦った侍ジャパンのメジャーリーガーたちと活発に交流した。
オリックスからボストン・レッドソックスへ5年9000万ドルの大型契約で移籍した吉田正尚(29)とは実際に対面。お互いのバットを交換し、笑顔でツーショットを撮影した。吉田がインスタグラムのストーリー機能で「また会いましょう」と英語で綴ると、イ・ジョンフは「良いシーズンを送ってください。また会いましょう」と返していた。
また、帰国直後に自身のインスタグラムを更新すると、サンディエゴ・パドレスでキム・ハソン(27)と同僚のダルビッシュ有(36)から「一緒にプレーするのが楽しみです」と英語でコメントが届いた。イ・ジョンフは“日韓戦”でダルビッシュと対戦した際、2打席目に適時打を放った。
ダルビッシュからのコメントに、イ・ジョンフは「コメントありがとうございます。MLBであなたと一緒にプレーするために、これからも一生懸命プレーします」と返していた。
そもそも今回のWBCでは、大会期間に韓国代表と侍ジャパンが同じホテルに割り当てられていたという。このため、イ・ジョンフと吉田のように交流が比較的容易にできた状況でもあった。
こうした日本のメジャーリーガーとの交流を、イ・ジョンフは次のように振り返った。
「ヨシダ選手とは代理人(スコット・ボラス氏)が同じで、それで日本で元々会う計画になっていた。ダルビッシュ選手からのコメントは、昨日家で休んでいるときに突然来たのでびっくりした。メジャーリーグの先発1番手で活躍する選手が良い言葉をかけてくれたので、モチベーションにもなるし、自信もついた」
侍ジャパンのメジャーリーガーからもその実力を認められたイ・ジョンフ。彼らがアメリカの地で再会する日もそう遠くなさそうだ。
(記事提供=OSEN)
◇イ・ジョンフ プロフィール
1998年8月20日生まれ。日本・愛知県名古屋市出身。身長185cm。韓国のプロ野球選手。キウム・ヒーローズ所属。父親は1998~2001年に中日ドラゴンズに在籍したイ・ジョンボム(李鍾範)。高校卒業後の2017年にプロデビューし、同年の新人王を受賞。ゴールデングラブ賞(NPBのベストナインに相当)に2018~2022年の5年連続で選ばれており、2022年はシーズンMVPと打撃5冠(首位打者、最多安打、最多打点、最高長打率、最高出塁率)に輝いた。2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場した。2023シーズン終了後のメジャーリーグ進出を表明している。愛称は「韓国のイチロー」。