全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースが最も熱望するタイトル。それはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の優勝トロフィーだ。
全北現代は最後にACLを制覇した2016年以降、アジアの頂点から遠ざかっている。国内のKリーグ1(1部)では前人未到の5連覇という金字塔を打ち立てたが、ACLでは目立った結果を残せずにいる。
2020年は8年ぶりにグループステージ敗退を喫し、昨季は準々決勝でライバルの蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)に敗れた。毎シーズンでアジア制覇を目標に掲げながら、準決勝進出以上の成績を出せず苦杯をなめていた。
今季は例年以上にACL制覇に切実だ。というのも、Kリーグ1での優勝の可能性が落ちているからだ。
全北現代は27試合消化時点で14勝7分6敗の勝ち点49とし、首位の蔚山現代(勝ち点55)と6ポイント差の2位に位置している。加えて、蔚山現代が1試合未消化の状況であるため、勝ち点差は最大「9」にまで広がる可能性がある。
ファイナルラウンド含め残り約10試合程度と考えると、逆転が容易ではないポイント差だ。このままでは6年連続優勝の夢は打ち砕かれるかもしれない。
全北現代の今シーズン最大の目標は「3冠(Kリーグ1、FAカップ、ACL)」だったが、最も優先順位を置いていた大会はACLだ。例えリーグ優勝を逃したとしても、アジア王者になれれば十分な慰めになるだろう。だからこそ、ACLに全力を注ぎこむ必要がある。
全北現代は本日(18日)、日本の浦和駒場スタジアムで大邱(テグ)FCとの決勝トーナメント1回戦を戦う。
従来のACL決勝トーナメントはホーム&アウェー形式で2試合戦っていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で近年は中立地で一発勝負の形式となっている。そのため、本日の1回戦で勝利すれば、準々決勝に駒を進めることができる。
全北現代はACL前最後に行われた13日の第28節で仁川(インチョン)ユナイテッドに1-3で敗れ、勢いに陰りが見られるが、相対する大邱FCも状況が良いわけではない。リーグ戦では直近4連敗含む10戦未勝利(5分5敗)と低迷し、アレシャンドレ・ガマ監督が成績不振の責任を取って辞任した。そのため、今回のACL決勝トーナメントからチェ・ウォングォン監督代行が臨時でチームを率いている。
低調なパフォーマンスで結果も得られず、停滞した雰囲気が続いている大邱FCだが、監督辞任によってその雰囲気も変わりかねないだけに、全北現代としては決して油断してはならない相手だ。
例え大邱FCを破ったとて、決勝まで進むには険しい道のりを乗り越えなければならない。準決勝まではいずれも日本で一発勝負で行われるが、対戦相手の面々は実に華やかだ。
決勝トーナメントまで進んだほかのチームを見ると、パトゥム・ユナイテッド(タイ)と傑志(香港)が激突するほか、蔚山現代を下したジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)が浦和レッズと対戦。ヴィッセル神戸と横浜F・マリノスによる日本勢の同国対決も行われる。どのチームが上がってきたとしても、簡単に倒すことのできない相手だ。
カギを握るのは体力面だ。全北現代は8月に入ってすでに4試合を消化している。中2~3日の過密日程が続くなか、いかにパフォーマンスを引き上げられるかが重要となる。
母親の葬儀のため一時チームを離脱していたガンビア代表MFモドゥ・バーロウ(29)が復帰し、ACLではKリーグ独自ルールの「U-22選手義務出場規定」が適用されない点が肯定的な要素だ。
横浜FMと同居したグループステージを3勝3分の無敗で乗り切った当時のパフォーマンスを再現できれば、日本の地で決勝進出という成果を挙げて帰ってくることは十分にできるはずだ。
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