トッテナム戦最高の“シーン・スティーラー”は、紛れもなく元日本代表MF天野純(30、蔚山現代)だった。
天野は7月13日、ソウルワールドカップ競技場で行われた「Coupang Playシリーズ」第1戦のトッテナム戦にチームKリーグのメンバーとして出場した。天野はGKチョ・ヒョヌ(30)とともに蔚山現代を代表して参加した。
チームKリーグの「背番号11」を背負った天野は、意外な場面で注目を集めた。
2-3の1点ビハインドで迎えた後半17分、MFヤン・ヒョンジュン(20、江原FC)との交代でピッチに足を踏み入れた天野だったが、投入6分後の同23分に悔しさを訴えた。というのもコーナーキックからプレーが続いた状況で、自陣ペナルティエリア内での天野のハンドが宣言されたためだ。
この試合を担当したキム・ジョンヒョク主審は、断固として天野のハンドを宣告した。天野は「自分の手にボールは当たらなかった」とジェスチャーを続けていたが、判定は覆らず。主審にはもちろん、チームKリーグの同僚やトッテナムの選手にも悔しさを訴えていた。
結局、PKをFWソン・フンミン(29)に決められ、チームKリーグは2-4とさらに点差を広げられた。
悲痛な訴えも虚しく起こった失点だったが、その3分後の同26分、今度は自身の左足で、会場に駆け付けた約6万4000人の観客を魅了した。ペナルティエリア外左側で得たフリーキックの場面でキッカーを務めると、鋭いキックで直接シュートを狙い、フランス代表GKウーゴ・ロリス(35)が守るゴールネットを揺らしたのだ。
得点後、チームメイトとともに愉快なゴールパフォーマンスで喜びを分かち合った天野は、そこでも自分の手を叩くジェスチャーをして、PKの場面がハンドでなかったことを訴えていた。
試合後、天野は「実際のところ、ハンドの確率は50/50だと思っていました。親善試合だったので、主審も見逃してくれると思っていたのですが」と、率直な思いを明らかにした。
また、ジェスチャーについては「観客と主審に、(PKの場面が)ハンドではなかったことをアピールするためにやりました」と説明した。
試合中には天野とソン・フンミンが直接マッチアップする場面も見られた。この日、ベンチスタートのソン・フンミンは後半開始とともに出場したが、2ゴールの活躍で圧巻の存在感を見せつけた。
「(ソン・フンミンは)スピードそのものが速かったです。さすがプレミアリーグ得点王だけあって、素晴らしい選手だということをプレーしながらも実感しました。試合後にはロッカールームで一緒に写真も撮りました」という天野。
「ユニホームはハリー・ケインと交換しました。元々僕が好きな選手の一人だったんです。(ケインが後半9分に記録した)左足のミドルシュートを見て感動も受けました。それで、僕から先にケインに(ユニホームを)交換しようと伝えました」とし、「(ユニホーム交換の)競争率は意外と高くなかったですね」と笑顔を見せていた。
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