ホン・ミョンボ監督の望み通りとなった。蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)が元日本代表MF天野純(30)の“ワンマンショー”でシーズン初勝利をもぎ取った。
蔚山現代は2月26日、アウェーの炭川(タンチョン)総合運動場で行われたKリーグ1(1部)第2節の城南(ソンナム)FC戦で、天野の2得点で2-0の完勝を収めた。
去る20日の開幕戦で金泉尚武(キムチョン・サンム)とスコアレスドローに終わった蔚山現代は、2戦目で今季初勝利を手にし、1勝1分の勝ち点4とした。
城南FC戦の勝利は勝ち点3以上の意味を持つ。蔚山現代は今季、長身FWオ・セフン(23)がJ1リーグの清水エスパルスに移籍したことにより、開幕戦から“プランB”を稼働せざるを得なかった。新加入のブラジル人FWレオナルド(24)は隔離中にあり、ベテランの元韓国代表FWパク・チュヨン(36)も実戦感覚の引き上げに尽力していたからだ。
この“1トップ不在”の事態を受け、ホン・ミョンボ監督はジョージア代表MFヴァレリ・カザイシュヴィリ(29)、天野という2人のテクニシャンを前線に据える“ゼロトップ”を採用した。
ただ、金泉尚武戦では20本ものシュートを放ちながら得点が生まれず、“半分の成功”に終わった。レオナルドの合流、パク・チュヨンの復調まで当分はゼロトップの意地が避けられないだけに、城南FC戦では何よりもゴールを決めることが最優先の目標だった。
そんな重要な試合でフィニッシャーの役割を果たしたのは、ドイツ2部シャルケにレンタル移籍した韓国代表MFイ・ドンギョン(24)の代役として、横浜F・マリノスからレンタル移籍で獲得した天野だ。
開幕戦で早速Kリーグ・デビューを果たし、優れた個人技と鋭いシュートでインパクトを残した天野は、韓国2試合目にして初ゴール含む複数得点に成功し、蔚山現代に勝ち点3をもたらした。
天野は後半1分、左サイドバックのDFソル・ヨンウ(23)が上げたクロスに反応すると、こぼれ球を左足でボレーシュート。ボールはクロスバーに当たってゴールネットに吸い込まれた。
同10分にはペナルティエリア内でのドリブル突破で足をかけられ、PKを獲得。ただ、PKはキッカーのジョージア代表MFヴァレリ・カザイシュヴィリ(29)が相手GKに止められたため、追加点とはならなかった。
それでも天野の活躍は止まらず、同21分には右サイドでのドリブル突破でファウルをもらい、相手DFの退場を誘発。同38分には、敵陣ペナルティエリア内でのボール奪取からこの試合2度目となるPKを獲得し、今度は自らPKを沈め、2点目に成功した。
天野はこの日、自身が放った2本の枠内シュートをすべてゴールにつなげた。キーパスもチーム最多の3本を記録し、インターセプト4回、ブロック5回、ボール奪取10回と守備の指標でも活躍が目立った。
特に、ボール奪取の数値はセンターバックのDFイム・ジョンウン(31)の12回、守備的MFウォン・ドゥジェ(24)の11回の次に多い。それだけ前線から強いプレッシャーを仕掛け、後方のチームメイトの負担を軽くしているというわけだ。
“テクニシャン”たる所以の技術はもちろん、相手に最後まで食らいつく根性まで兼ね備えた天野は、外国人選手の適応が難しいとされるKリーグで“突撃隊長”のようにプレーし、現在まで活躍を披露している。
試合後、ホン・ミョンボ監督は天野について「サッカーを知っている選手」とし、活躍ぶりを称賛した。
天野自身、「日本で長くプレーをしたキム・ヨングォンが、韓国サッカーの特徴である強いプレス、ロングボールを多用したスタイルなどを教えてくれた。ホン・ミョンボ監督のパスサッカーも自分とよく合うと思った」とし、今後の試合でもチームに貢献する覚悟を誓っていた。
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