経済における最大の問題は「不確実性」というが、プロアスリートの難敵もやはり「不確実性」だ。
そして、その予測不可能は負傷に起因する。回復して本来のコンディションに戻るか、戻ったとしていつ復帰するかの不確実性だ。
昨季までサンディエゴ・パドレスに所属し、ダルビッシュ有(38)らと同僚だったFAのキム・ハソン(29)は、昨年10月に受けた肩の手術の影響もあり、依然として新天地が決まっていない状態だ。各球団で活発な補強の動きが聞こえてくるが、キム・ハソンに関するニュースは聞こえてこない。
サンフランシスコ・ジャイアンツ、シアトル・マリナーズ、アトランタ・ブレーブス、ミルウォーキー・ブルワーズ、ピッツバーグ・パイレーツ、ロサンゼルス・エンゼルス、ボストン・レッドソックスなどが関心を持つほか、パドレスとの再契約も噂されているが、依然として“様子見”であることに変わりはない。
キム・ハソンの復帰は4月末以降が予想されている。そのため、キム・ハソンがリハビリの終盤に入った後、体の状態に関する綿密なチェックがなされてから、ようやく新天地が決まるであろうと見通されている。
ただ、キム・ハソンが疑問視されているのは打撃よりは右肩の送球だ。彼は昨年8月、スライディングによる帰塁時に右肩を負傷し、手術台に上がった。
『ESPN』は1月28日(日本時間)に掲載した「ポジション別最高FA:最適球団及び予想」という記事で、キム・ハソンをFAランキング25位と評価した。残留FAでは最高の遊撃手だ。契約規模は2年総額4210万ドル(日本円=約65万円)と予想した。
同メディアはキム・ハソンについて、「肩の手術後の送球に対する不確実性のため、FAの状況が複雑になった」と評する。ゴールドグラブ受賞などトップクラスの守備力を持ち、平均的な打撃力も備えているが、肩の手術によって復帰タイミングを計ることが難しいことから、契約のタイミングも予測が難しいと見られている。
また、『ESPN』は「キム・ハソンは今シーズン開幕以降も未契約状態で残る可能性がある」と冷静に見通した。
ところが最近、とある現地メディアは「エンゼルスが二塁手問題を解決するための救世主として3人に注目している。キム・ハソンが有力な候補だ」と伝えた。キム・ハソンの新天地候補のなかにエンゼルスが追加されたというわけだ。
だが、『ESPN』の展望のように、キム・ハソンの“FA迷子”は長期化する公算が高い。
2025年シーズンのMLB春季キャンプ開幕まで1カ月も残っていない。レギュラーシーズン開幕は3月28日だ。キム・ハソンの出場は4月末以降に可能となる。
MLBの時間は刻一刻と迫っているが、キム・ハソンの契約は依然として迷宮の中にある。
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