韓国サッカー協会(KFA)が、政府の監査結果に対する事実上の“反論”を伝えた。
KFAは6日、文化体育観光部(以下、文体部/日本の文部科学省に相当)の監査結果に関する立場を発表した。
事実上、監査を認めることはできないというのがKFAの立場だ。
文体部は前日の5日、政府ソウル庁舎別館でKFAに対する監査の最終結果を発表。チョン・モンギュ会長をはじめとするKFAの主要関係者に「資格停止以上の処分が必要だ」と要求した。
特にチョン会長には、KFAの業務総括として監督選任をめぐる議論だけでなく、不正行為者に対する不適切な赦免措置、天安(チョナン)サッカー総合センター建設補助金の虚偽申請などに対する責任を問い、重懲戒を要求された。
チェ・ヒョンジュン監査官は「サッカー協会の公正委員会の規定上、除名、解任、資格停止が公務員基準で重懲戒に該当すると見る。この3つのなかで公正取引委員会が選択すれば良いと判断する。処分を“勧告”するのではなく、“要求”している。規定上、文体部は懲戒を要求する権限があり、それに関する判断は協会の公正委員会が下すことになっている。協会が国民の目線・世論に合わせ、望ましい判断をすることを期待している」と伝えた。
これに対し、KFAは「ユルゲン・クリンスマン監督選任過程で戦力強化委員会を排除・無力化した事実はない。ホン・ミョンボ監督選任過程でも協会規定を遵守した。イ・イムセン技術委員長が進めた過程も職務範囲内で行われたものだ」と明らかにした。
そのほか、代表チームの指導者の理事会選任、フィジカルコーチの資格をめぐる議論などは、「サッカー界の現実を考慮しなければならない」と強調した。
ただ、監査で最も問題になった天安総合サッカーセンター内のミニスタジアムにおける事務空間計画に関しては、納得の難しい釈明が見られた。
文体部は、KFAがミニスタジアム建設のために政府から補助金を支援される過程で、当初はスタジアム内に事務空間を建設しないことで協議されていたが、KFA側がこれを無視し、天安市から事務空間の建築許可を受けた事実を監査後に指摘した。
KFAは2022年に21億ウォン(日本円=約2億3131万円)、2023年に56億ウォン(約6億1789万円)と、計77億ウォン(約8億4786万円)の支援を政府から受けている。
これに対するKFAの釈明は以下の通りだ。
「2022年、2023年の交付金申請過程で、ミニスタジアム外部の代表選手宿舎棟に事務空間を設置することを計画した。現在は、事務空間を設けることができる空間はどこが適正なのかについて設計変更及び検討中であり、文化体育観光部ともこの件について相談する予定だ」
もっとも、すでに違法な行為を犯し、問題となっているのは事実なだけに、「文体部と相談する」という態度は説得力に欠ける。この部分では文体部の指摘を認めるしかない。
また、財源調達をする過程で、文体部長官の事前承認なくハナ銀行と615億ウォン(約67億8670万円)限度の貸出契約を約定した点も重大な違法事案だ。しかし、これに対する釈明もやはり理解することは難しい。
KFAは「承認を要請した際、文体部関係者が交替されたことで遅れが発生した。協会と文体部関係者の疎通上の問題があったことも考慮してほしい」とし、「文体部の承認を受けられなかった該当の貸出の件に対しては、9月に7億7500万ウォン(約8543万円)の借入金を全額償還し、限度615億ウォン(約67億7953万円)の借入契約も解約措置した」と伝えた。
疎通がまともになされなかったとしても、疎通を確実に行った後に貸出を受けるのが当然の手順だ。KFAは自ら「基本を守らなかった」と認めたわけだ。
何より、文体部が問題視したことを受けて借入金を全額返済し、契約解除措置を取ったからといって、過去に犯した違法行為が消えるわけではない。まったくの釈明にもなっていない。
文体部の監査を通じて発覚したさまざまな問題のなかで、KFAが最も負担となる部分はやはり「カネ」だ。特に、国のお金を使用した天安総合サッカーセンター建設問題は致命的だ。
文体部は「補助金管理に関する法律では、虚偽や不正な方法で補助金を支給された場合、5倍の制裁付加金を徴収するようにしている」と明らかにした。このため、KFAは240億ウォン(約26億4812万円)に達する課徴金が賦課されるという。1年間の予算の10%をはるかに超える規模なだけに、KFAとしても懸念せざるを得ない。
KFAは「文体部の監査結果に関して、再審の要請を検討している」と明らかにした。
ただ、まともな釈明すらもできないなかで、再審をすることにどのような意味があるのかわからない。この程度の釈明しかできないKFAが、文化体育観光部との戦いで勝利することは難しいものとみられる。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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