韓国政府に「資格停止以上の処分」を要求された韓国サッカー協会(KFA)のチョン・モンギュ会長が“四面楚歌”に置かれた。もはやKFA会長職の4期目続投への名分は消えた。
政府の文化体育観光部(以下、文体部/日本の文部科学省に相当)は11月5日午後、政府ソウル庁舎別館でKFAに対する監査の最終結果を発表した。
文体部はチョン会長をはじめとするKFAの主要な関係者に、「資格停止以上の処分が必要だ」と結論付けた。
特にチョン会長には、KFAの業務総括として監督選任をめぐる議論だけでなく、不正行為者に対する不適切な赦免措置、天安(チョナン)サッカー総合センター建設補助金の虚偽申請などに対する責任を問い、重懲戒を要求された。
チェ・ヒョンジュン監査官は「サッカー協会の公正委員会の規定上、除名、解任、資格停止が公務員基準で重懲戒に該当すると見る。この3つのなかで公正取引委員会が選択すれば良いと判断する」とし、「処分を“勧告”するのではなく、“要求”している。規定上、文体部は懲戒を要求する権限があり、それに関する判断は協会の公正委員会が下すことになっている。協会が国民の目線・世論に合わせ、望ましい判断をすることを期待している」と伝えた。
文体部によると、監査の結果、KFAに計27件の違法、不当な業務処理が確認された。韓国代表のホン・ミョンボ監督選任過程をはじめ、不正行為を犯したサッカー関係者に対する奇襲的な赦免措置の試み、天安総合サッカーセンター建設補助金虚偽申請、指導者講習会の不公正な運営、非常勤役員の不適正諮問料支給など、あらゆる領域で問題が発見された。
KFAの立場で最も負担となるのは、天安総合サッカーセンター建設補助金の虚偽申請だ。
文体部によると、KFAはミニスタジアム建設のために政府から支援金の補助を受けた。この過程で、当初はスタジアム内に事務空間を建設しないことで協議されていたが、KFA側がこれを無視し、天安市から事務空間の建築許可を受けたことが確認された。
加えて、財源調達を進める過程で文体部長官の事前承認なく、ハナ銀行と615億ウォン(日本円=約67億8670万円)限度の貸出契約を約定した点も違法事案と確認された。
文体部は「虚偽の事業計画書を作成し、計56億ウォン(約6億1789万円)の交付を受けた。文体部はこれに対して関連者を問責し、交付決定の取り消しおよび還収方案の用意を、監督部署を通じて要請する計画だ」と明らかにした。
同時に、「補助金管理に関する法律では、虚偽や不正な方法で補助金を支給された場合、5倍の制裁付加金を徴収するようにしている」と明らかにした。つまり、KFAには240億ウォン(約26億4812万円)に達する課徴金が賦課されるというわけだ。
課徴金がすべてではない。文体部はKFAが正当な処分を下さない場合、より多くの方法を動員してKFAとチョン会長を圧迫する見通しだ。
特に、KFAの1年間の予算の10%に相当するスポーツTOTO(スポーツ振興くじ)支援金をも圧迫手段として活用するものと見られる。
チョン会長をはじめとするKFA幹部に対する処分は、KFAの公正委員会が決定しなければならない。問題は、公正委員会の委員長をはじめとする内部委員が、組織のリーダーであるチョン会長を事実上“弾劾”することが簡単ではないという点にある。
ただ、公正委員会で文体部が望む水準の処分が下されない場合、財政的圧迫が現実化する可能性がある。
文体部は併せて、「手続きにおける欠陥が確認されたホン・ミョンボ監督選任に対しては、戦力強化委員会で監督候補者を再び推薦し、理事会で選任する方案などを含め、サッカー協会がホン監督選任過程の手続きにおける欠陥を直す方案を講じるよう伝えた」と明らかにした。
ただし、ホン・ミョンボ監督と締結した契約を維持したり解任したりするかなど、詳細は協会が自律的に判断する領域と解釈しただけに、去就に変化が生じることはないものとみられる。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.
前へ
次へ