牛乳価格の上昇が予想されると、乳製品業界の悩みは日増しに大きくなっている。
これに対し、消費者も牛乳の代替品として比較的安い「滅菌牛乳」に目を向けている。
新鮮牛乳の代替品として浮上したコストパフォーマンスの高い滅菌牛乳。しかし最近、韓国の食品メーカーBinggrae(ビングレ)の滅菌牛乳である日本輸出用バナナ牛乳製品から大腸菌検出、全量リコール措置の事態が発生し、滅菌牛乳の品質問題が再び浮上した。
最近、酪農家と乳製品業者が立場の差を縮められず、原油価格交渉が引き続き先送りされている。消費者たちは結局、牛乳価格の引き上げを予想し、新鮮牛乳と比べて1000ウォン(日本円=約100円)以上安い滅菌牛乳を求め始めた。
別名「半額牛乳」「コスパ牛乳」「プチプラ牛乳」とも呼ばれる滅菌牛乳。
新鮮牛乳とは異なり、滅菌牛乳は長期間保存のために135~150度で2~5秒間過熱し、一般室温で育つ可能性のあるすべての微生物を完全に死滅させる超高温滅菌法を利用して生産した製品だ。
有害細菌は滅菌させるが、有益菌は残す方式の新鮮牛乳とは大きな違いを見せる。滅菌牛乳は有害細菌のみならず、乳酸菌のような有益菌までもすべて死滅させる。
このように、牛乳の鮮度面では多少足りない部分があれど「品質性が安全」「安い」という長所によって、牛乳価格上昇が続く近年は滅菌牛乳を求める消費者がますます増えている傾向だ。
しかし、韓国国内で生産された滅菌牛乳から“大腸菌検出”という問題が発生したことで、滅菌牛乳に対する品質性が再び物議を醸している。
最近、Binggraeが日本に輸出している「バナナ味牛乳」から大腸菌が検出され、現地で全量リコール措置される事態が伝えられた。
今月18日、業界によると、Binggraeが日本に輸出している人気K-POPボーイズグループBTS(防弾少年団)のメンバーのイラストが使用された「バナナ味牛乳」から大腸菌が検出され、現地で全量リコール措置を受けたことがわかった。
これに対し、日本政府の厚生労働省は19日、Binggraeの「バナナ味牛乳」に対して「全量回収及び廃棄」命令を下した。
Binggraeは自社製品のリコールに関して、「該当製品と同一ロットの製品に対して公認機関検査を依頼したが、特別な異常が発生していないことから、製造工程ではなく流通上の外部衝撃による変質の可能性が高いと見ている」とし、「外部衝撃によって製品容器が破損し、空気中の菌も流入する可能性もある」と伝えた。
消費者たちは、新鮮牛乳よりも多少鮮度は落ちるとしても、安価で長期間摂取できる点に長所を見出し、滅菌牛乳を購入した。
しかし、このような事態が起きてしまえば、滅菌牛乳の輸入産と国産、賞味期限、品質的な違いにも疑問が相次いでいる。
輸入産の滅菌牛乳の場合、国産と異なり賞味期限が通常1年程度で非常に長い。反面、韓国国内の乳製品業界で生産・販売される滅菌牛乳の賞味期限は平均12週間程度だ。
これに対し消費者は、同じ滅菌牛乳でも賞味期限が長い輸入産の滅菌牛乳を求める。実際、韓国国内で最も多く販売されている滅菌牛乳はポーランド産だ。
韓国政府の関税庁によると、ポーランド産滅菌牛乳の今年上半期の輸入額は173億ウォン(日本円=約17億3000万円)に当たるという。
一般的な消費者の観点からは、賞味期限が長い輸入産滅菌牛乳の方が、品質性がより安全だと評価することもできる。
だが、韓国国内のとある乳製品業界関係者は、「韓国国内の乳製品業者で生産される滅菌牛乳も、賞味期限を1年に上方修正することはできるが、国内の業者は平均12週間に設定している」とし、「これは最上の品質を維持するため」と強調した。
“滅菌牛乳”という言葉自体、「何の菌もない状態」を意味する。そのため、傷んだり変質したりはしないということだ。
しかし、滅菌牛乳であれど12週間程度経てば、沈殿や官能などによって微細に差が現れる可能性があるというのが関係者の主張である。
別の業界関係者は、「輸入産の滅菌牛乳も、12週間以上保管する場合、沈殿状態や味が微細に変わる可能性があるが、問題はないと聞いている」とし、「韓国国内の滅菌牛乳の場合、国内消費者に合う官能品質を維持するため、12週間で輸入滅菌牛乳と差をつけた」と明らかにした。
また、輸入産の滅菌牛乳の場合、輸送などにより長時間の移動が必要のため、賞味期限を12週間に設定する場合、現地で販売安全性を保障することが難しくなる。場合によっては、すでに賞味期限が過ぎた状態で到着する可能性もあり得るためだ。
彼は「逆に、国内から海外に輸出する滅菌牛乳の場合、1年で賞味期限を設定したりもする」と付け加えた。
このように、韓国国内の乳製品業界は牛乳本来の新鮮さのため、国産の滅菌牛乳の賞味期限を12週間程度に設定したという説明だ。
そのため、輸入滅菌牛乳の賞味期限が長いからと言って、国産より品質的に安全なわけではない。
一方、酪農家たちは最大限高い価格を要求しているが、乳製品業界がこれを受け入れないことにより、牛乳の価格決定は10回の議論の末にもまだ難航している。
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