韓国最高裁の元徴用工賠償判決に反発し、日本が半導体素材の輸出を規制するというニュースに、韓国国民は怒った。どの市民団体も、政治圏も不買運動を誘導しなかった。
韓国国民が自発的に、日本製品不買運動を開始した。
不買運動が始まると日本産ビールやユニクロなど、日本と関連したブランドや企業は販売に打撃を受け、営業利益が急落した。嫌韓発言で議論となった化粧品ブランドDHCの場合、韓国の流通業界から“退出”することとなった。
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日本製品不買運動に参加する国民が徐々に増加し、不買の対象は業界全体に広がっていった。
韓国国民は食品医薬品安全処のホームページを通じて、日本産の原料を使用している食品企業を見つけたり、日本の株式が少しでも入っている企業を取り上げたりして、ボイコット企業のリストを作った。リストに記載されて企業の業績が下降したときは、「成果が明らかになった」と大喜びした。
記者も内心、うれしく思った。しかし冷静に現在の状況を振り返ってみると、日本と経済的に深く絡み合っているだけに、韓国企業と国民が日本企業よりも先に被害を受ける可能性があることも見逃してはならない。
日本製品を扱う韓国企業が不買運動の影響を受けて、従業員の雇用に苦労している事例が代表的だ。
日本産ビールである「サッポロ」や「エビス」を輸入・流通する会社エムズビバレッジは、不買運動で売上高が急減すると、全従業員の無給休暇を決定した。代表取締役まで含めた従業員は、週1回の無給休暇に入った。不買運動が続く限り、給与削減を覚悟した状態だ。
工場の部品に日本製品を使っているという理由で、不買対象リストに上がった別の企業の関係者は、「残念だが、その部品は日本の技術力や性能に匹敵する韓国製品が皆無だ。ヨーロッパ製品を使うこともできるが、価格面で日本製品に比べてはるかに高い」と明かした。
そして「企業は利益を出さなければならいので、価格に対比する性能を計算する。無条件にすべての原料と設備を国産に代替すれば、消費者にも負担がかかる可能性があり、結局は国民の損害につながる」と述べた。
寿司屋や居酒屋など、日本料理店を運営する韓国自営業者の状況も同じだ。サービスが悪化したり、味が落ちたりしたわけではなく、ただ「日本料理店」という理由だけで客足が途絶えた店も少なくない。
韓国国民は現在、日本の過去の侵略に対する謝罪、賠償、日本経済の依存からの脱却のために、不買運動を行っている。その趣旨には共感できる。しかし日本政府や企業ではなく、私たち韓国国民と韓国企業が“善意の被害”を受けている状況があるとするならば、感情的な不買運動をしているのではないかと振り返るべきではないだろうか。
特に、一部ではなく全国民の思いから始まった不買運動であるだけに、日本製品や日本企業に打撃を与えることだけにとらわれるのではなく、日本経済への依存度を下げ、自らの技術力を成長させる“変曲点”としなければならない。
もちろん、そのためには韓国政府の役割も重要だ。韓国企業が原料から包装まで国産化できる技術力を確保できるように、政府は「国産化」を叫ぶだけではなく、現実的な支援策を設けなければならない。
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