韓国のフードデリバリーサービス「WIMPO.」は6月29日、飲食店店主たちが気楽に店舗を運営できるよう支援する「安心商売プロジェクト」を始めると明らかにした。
本プロジェクトには、ブラックコンシューマーの根絶、悪質コメントの掲載中断などレビューのクリーン化、仲介手数料0%などが主な内容として盛り込まれている。
韓国でこのようなプロジェクトが始まった背景には、自営業・中小企業労働者の権利保護を巡るプラットフォームの役割論が浮上したため、先手を打って店主らの権利強化に乗り出したものと見られる。
まず異物混入、誤配達申告、対面決済放棄などの悪意的な利用者については、事実関係の確認した上で悪質なクレームだったと判明すると、WIMPO.を利用不可にする基準を立てた。 特に異物混入の申告は、食品医薬品安全処が運営する「食品安全の国」の検証を受けるプロセスで、店主がブラックコンシューマーの悪意に満ちた攻撃を防げるようにしている。
ほかにもレビュー制度の悪用防止に向けた「クリーンレビュー」施策も実施。悪質なコメントや誹謗中傷などに対して即時に対応するため、WIMPO.の独自モニタリングを強化し、社長の通報制度を運営するという。届出やモニタリングによって不正レビューと判明した場合は、WIMPO.が直接削除対応に乗り出すそうだ。
WIMPO.のハ・ジェウク代表は「飲食業の社長と利用者が、安心して楽しく利用できるプラットフォーム環境を造成するため、企業として責任を果たす」と述べている。
今回の施策に先立ち、韓国ではフードデリバリーサービスにまつわる痛ましい事件が起きていた。
ソウルのとある飲食店店主は、デリバリープラットフォーム「coupang eats」で食事を注文した顧客が、エビフライ3つのうち1つの色が変だから払い戻してほしいと難癖をつけられたあと、悪質レビューなどから来る苦痛やストレスにより脳出血で意識を失い、5月末に死亡するという事件が起こった。
事件後、市民社会団体は「配達アプリ運営事業者は、虚偽・悪質評価やレビューテロで売上に大きな打撃を与えるブラックコンシューマーから店主を保護すべきだ」と声を高めていた。coupang eatsはこの議論について、一部の悪質利用者から店主を保護するための専従組織を新設するなど、再発防止を約束していた。
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