罷免決定で「民間人」となった韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）前大統領が大統領官邸に保守系ユーチューバーを招き、政局に対する意見を交わしていたことがわかった。
韓国史講師も務めるユーチューバーのチョン・ハンギルは4月9日、自身が運営するYouTubeチャンネル「チョン・ハンギルニュース」で公開した最新動画を通じて、尹前大統領と官邸で会合を開いた事実を明かした。
「尹錫悦大統領が引っ越しを控えて感謝の意で呼んでくださった」と伝えたチョン・ハンギルは、官邸で尹前大統領、「国民の力」のユン・サンヒョン議員とともに手を取り合った記念写真も公開した。
チョン・ハンギルらとの会合で、尹前大統領は「私は監獄に行こうが死のうが構わない。だが国民と青年世代はどうするのか」とし、罷免された身でありながら政治的メッセージを続けたという。
チョン・ハンギルは「大統領選挙で必ず勝利して改憲し、憲法裁を粉々にしてやる」という発言も伝え、尹前大統領との“政治的共助”をYouTubeチャンネルを通じて事実上宣言した。
尹前大統領の現在の身分は「民間人」だ。
憲法裁判所の罷免宣告によって、4月4日11時22分をもって大統領職を喪失したにもかかわらず、11日の退去予定日まで官邸にとどまり、「政治会合」を続けているという事実が批判世論を刺激している。
「共に民主党」のソ・ヨンギョ議員は「罷免された前大統領が、なぜ官邸で料理人たちと食事をするのか」とし、官邸運営費に国家の税金が投入されたかどうかを徹底的に問い詰めなければならないと指摘した。
パク・グァンチョン元青瓦台行政官も、「この時点以降、官邸の運営に国家予算が使われたのであれば、これは横領だ」と言及した。
尹前大統領はこれまでもナ・ギョンウォン議員、ユン・サンヒョン議員など「国民の力」関係者と官邸で非公開の会合を設けるなど、いわゆる「官邸政治」を展開し、退任後の行動において公的・私的な境界をあいまいにしたという批判を受けてきた。
尹前大統領との会合で再び注目を集めたチョン・ハンギルは、最近、政治活動に積極的に乗り出して論争の中心に立っている人物だ。
これまで韓国史の受験講師として20年以上活動し、受験生の間で人気を集めていた同氏は、今年初めから尹前大統領の弾劾反対集会への参加、不正選挙論の主張などを続けてきた。
ただ、この過程でチョン・ハンギルは番組出演が中断され、「弟子たちが失望した」としてファンカフェの会員数が急減するなど、彼が自ら明らかにした「社会的・経済的損失」も少なくなかった。それでも、チョン・ハンギルは「昨年の収入65億ウォンのうち、半分近くを税金として納めた。それらすべてを甘受してでも政治に乗り出さなければならない」と主張している。
しかし一部では、「これまで講義による収入を基盤にしてきた影響力ある人物が政治的メッセージを広めることは、公教育への信頼を損なう恐れがある」という懸念も出ている。
特に、受験生を対象とするプラットフォームを通じて政治的発言を続けている点について、「公的影響力を私的な政治活動に活用しているのではないか」という問題提起もなされている。
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