「韓国映画の墜落を知らせる警鐘であり傍証」66年の歴史を持つ老舗映画館が閉館へ…業界の危機か

2024年05月03日 話題

「大韓劇場が大衆の心から去ったとしても、閉館は韓国映画の墜落を知らせる警鐘であり傍証だ」

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『密愛』(03)、『僕らのバレエ教室』『送還日記』(06)などを撮ってきたピョン・ヨンジュ監督の言葉だ。

“韓国を代表する映画街”忠武路(チュンムロ)を象徴する大韓(テハン)劇場が、66年目にして閉館することが決まった。同劇場を運営するセギ商事は4月29日、営業を9月30日に終了すると申告した。

セギ商事は、「劇場事業部の映画上映事業のパラダイム変化による持続的な赤字解消」「会社所有資産の効率化および事業構造改善」と閉館理由を明らかにしている。大韓劇場の閉鎖に伴い、ソウルの単館劇場時代は完全に幕を閉じることになる。

これに対して映画界は、「韓国映画界の墜落であり、Kカルチャーの危機」と口を揃えるほどだ。

韓国、ソウル
(写真=『スポーツソウル日本版』編集部撮影)韓国・ソウル。写真はイメージ

ピョン・ヨンジュ監督は5月1日、本紙『スポーツソウル』の電話インタビューで、「映画はもうホットメディアを通り過ぎ、クールメディアに向かっている。少なくともクールメディアにならないために政策を作る人々、資本・権力を持つ大企業が、今からでも韓国映画発展のために何かしなければならないのではないかと考える」と話した。

先立って、俳優ソル・ギョング、ファン・ジョンミン、チョ・スンウなどを輩出した韓国小劇場文化の象徴ハクチョンも、創設33年目にして廃業。韓国初の劇場として知られている仁川(インチョン)のエグァン劇場も消える危機に置かれている。また、韓国で2番目の作られた映画館である光州(クァンジュ)劇場も、厳しい状況に耐えているのが実情だ。

伝統的価値を持つ大衆文化の象徴的な空間がなくなっていくなか、老舗劇場までもが閉館することで「Kカルチャー危機論」が現実味を帯びてくる。

チョン・チャンイル映画評論家は、「韓国映画の伝統、文化の伝統が、終末を告げるという意味」とし、「歴史と伝統を守ることに対する国家予算投入はもちろん、多様な努力が必要だが、ただ資本の論理だけで転がっている。海外では韓国文化を称賛されるが、韓国内部では文化的価値をどうしようもなく放置している。その代表的な例が大韓劇場の閉館」と苦々しい気持ちを表わした。

アメリカの「20世紀フォックス」が設計した大韓劇場は1958年当時、韓国最大規模で開館した。韓国で初めて70ミリの映画が見られるスクリーンと映写システムを導入し、『ベン・ハー』(59)、『サウンド・オブ・ミュージック』(69)、『キリング・フィールド』(85)などの大作映画が韓国で初上映された空間でもある。

映画会社が密集する忠武路に位置し、映画関係者たちに夢の空間として挙げられたりもした。近隣の明宝劇場、スカラ劇場と共に忠武路を代表する3大映画館として位置づけられた。

しかし、1990年代後半から大企業資本中心のマルチプレックスが登場したことで、困難を経験。結局、2002年末に11の上映館を備えたマルチプレックスとして再開館した。

『オールド・ボーイ』(03)、『クライング・フィスト』(05)などの名作が上映され、しばらくは“試写会のメッカ”とも呼ばれていたが、2008年を最後に約10年もの間、赤字を継続し、ついにはマルチプレックスの勢いに押され挽回に失敗した。

なお、来年4月に再開館する大韓劇場は、世界的に有名な“イマーシブ”(没入)公演である『スリープ・ノー・モア』を収益共有方式で誘致する。『スリープ・ノー・モア』は観客が席を移動しながら演劇を観覧する独特な形式の公演だ。台詞がなく、観客は入場時に仮面を着用しなければならないと知られた。

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