映画『パラサイト 半地下の家族』で主演を務めた俳優のイ・ソンギュンが麻薬投薬の疑いで警察の立件前調査を受けた事実が知られ、韓国芸能界に衝撃が走った。
特に映画界の悩みは相当だ。すでにイ・ソンギュンに先立ち、俳優のユ・アインがプロポフォールをはじめとする4種の麻薬を投薬した疑いで次回作の公開が延期されており、そこに人気俳優イ・ソンギュンのショックまで加わったためだ。
イ・ソンギュンは早ければ今週中にも警察の召喚調査を受ける予定だ。
ユ・アインが麻薬の回数や種類の多さで衝撃を与えたとすれば、イ・ソンギュンは真っ直ぐで模範的な家長のイメージを自ら裏切ったという点で驚きを与えた。
2001年のシチュエーションコメディ『恋人たち』(原題、MBC)でデビューしたイ・ソンギュンは、2005年のドラマ『テルン選手村』(MBC)で顔を知らせた。2007年の『白い巨塔』(MBC)で主演級俳優に浮上し、同年の『コーヒープリンス1号店』(MBC)でスターダムにのし上がった。
以降、『パスタ~恋が出来るまで~』(2010)、『ゴールデンタイム』(2012)、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』(2018)、『Dr. ブレイン』(2021)、『ペイバック~金と権力~』(2023)など数多くのドラマはもちろん、映画『火車 HELPLESS』(2012)、『最後まで行く』(2014)、『パラサイト 半地下の家族』(2019)、映画『眠り』(原題、2023)などスクリーンでもずば抜けた演技を繰り広げた。
デビュー時から注目された俳優ではないが、一歩ずつ段階を踏んで成長した努力型の俳優であり、ドラマとスクリーンで人気を証明した“打率の高い俳優”でもある。
特に2018年に放送された『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』がNetflixを通じて全世界に配信され、『パラサイト 半地下の家族』はカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドール、アカデミー賞の作品賞を受賞しただけに、グローバルスターとして定着する可能性もあった。『パラサイト』以降に高まったイ・ソンギュンの認知度を反映するように、彼が今年出演した映画『眠り』と『脱出:PROJECT SILENCE』(原題)の2編が、5月の第76回カンヌ国際映画祭に招待されたりもした。
カンヌ国際映画祭は一度関係した俳優に対して、礼遇を重んじる傾向がある。そのため計8回もカンヌに招待されたソン・ガンホに続き、イ・ソンギュンが「“ポスト”ソン・ガンホ」となるのではないかとの評価まで出ていた。
イ・ソンギュン側は、麻薬投薬の容疑に対して肯定も否定もしなかった。
所属事務所のHODU&Uエンターテインメントは、今後の捜査に協力するという立場を伝えると同時に、イ・ソンギュンが事件と関連した人物から数億ウォン(数千万円)を出せと恐喝や脅迫を継続的に受けたと主張した。
さらに「関係者1人と氏名、氏名不詳の人物1人を検察に告訴した」と付け加えた。イ・ソンギュンは約2~3億ウォン(約2000~3000万円)を脅し取られたとされる。
ただ、そんな主張がイ・ソンギュンの麻薬投薬疑惑に“同情”を加えることはないという見方が強い。さらにイ・ソンギュンは今年のカンヌ国際映画祭に、妻で女優のチョン・ヘジンや2人の息子と一緒に参加している。麻薬事件で脅迫を受けたという彼が、国際映画祭で家族を表舞台に立たせた点は、一種のアイロニーだ。
警察はイ・ソンギュンと共に内偵過程で、歌手練習生出身でBIGBANG出身T.O.Pとの大麻吸引で知られるハン・ソヒ、南陽乳業創業者の孫でJYJ出身パク・ユチョンとの麻薬投薬で有罪となった“ミルク姫”ファン・ハナなど、計8人を内偵中とされる。
麻薬投薬の有無は確認されていない。イ・ソンギュンがK-POP界関係者である彼らと同じ調査線上に上がったことも疑問点だ。
一部では、一緒に調査を受けている8人のうち1人が、イ・ソンギュンの名前を明かした可能性も予想されている。
警察は今週中にもイ・ソンギュンを召喚し、身体押収捜索を行う予定だ。毛髪や尿の採取を通じて麻薬投薬の有無を確認した後、検察に送致するかどうかを判断する見通しだ。
◇イ・ソンギュン プロフィール
1975年3月2日生まれ。2001年、MBCのシチュエーションコメディ『恋人たち』(原題)でデビュー。2007年のドラマ『白い巨塔』韓国版で正義感の強い“チェ・ドンヨン(日本の里見脩二)役”を演じてブレイクし、『コーヒープリンス1号店』『パスタ~恋が出来るまで~』『ゴールデンタイム』『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』と数多くの人気ドラマに出演した。映画『僕の妻のすべて』『最後まで行く』『パラサイト 半地下の家族』などでも高い演技力を発揮。プライベートでは2009年5月に女優チョン・ヘジンと結婚しており、同年11月に長男が、2011年8月に次男が産まれている。
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