同情を得るための悪あがきだろうか。
最近、社会的な物議をかもした韓国スターたちが「生活苦」を告白するのが流行のように広がっている。
最近放送されたKBS1『追跡60分』には、麻薬投薬疑惑で検察に送致されたWINNER出身の歌手ナム・テヒョンが出演した。10代の間で密かに広がっている麻薬の実態を指摘し、麻薬の危険性を知らせるために、当事者であるナム・テヒョンが出演したのだ。
先立ってナム・テヒョンは7月6日、道路交通法違反(飲酒運転)容疑で罰金600万ウォン(約60万円)の略式命令を受けた。それだけでなく、6月には麻薬類管理に関する法律違反の疑いで在宅送検され、捜査を受けている状況だ。
そんななかで番組に出演したナム・テヒョンは、初めて今の心境を告白した。
放送でナム・テヒョンは、麻薬中毒治療リハビリセンターで生活している近況を伝えた。彼は麻薬を始めたきっかけについて、「精神科に通いながら精神安定剤や病院処方薬もたくさん飲んだし、活動するときにダイエットをしなければならないのでダイエット薬もとても長く飲んだ。そうやって最初は病院の処方薬を飲んでいたが、新型コロナで仕事がすべてなくなり、次第にうつ病もひどくなり、そんなとき初めて(麻薬と)接した」と明らかにした。
特にナム・テヒョンは、カードの支払い30万ウォン(約3万円)が未納という携帯メールを見て、「お金がない。これからバイトをしようと思う。食堂に行って厨房の仕事をしようとしている」と生活苦を伝えた。
現在、借金だけで5億ウォン(約5000万円)ほどあるという彼は、「薬を使って議論になり、契約していたものも違反事項が多くて違約金も支払うことになり、そのため住んでいた家も売らなければならず、両親が住む家も出した。すべてなくなった」と付け加えた。
ナム・テヒョンが明かした麻薬投薬後の生活苦に関する話は、単に若者に「麻薬をしてはいけない」という警戒心を与えるための要素かもしれない。しかし延滞代金の督促メールを受け取る姿を見せたり、うつ病で麻薬に手を出したという話を取り上げたりしたのは、彼に一部の正当性を与えようとしているかのように受け止められかねないという点で、不適切だとの見方も出ている。
まだ麻薬容疑の裁判が進行中であり、量刑さえ決まっていない状況で、感情的な訴えで同情の世論を作ろうとしているかのような姿を不快に感じた人も少なくない。
ナム・テヒョンの他にも、議論になった後に同情論で状況を免れようとするスターたちの姿が目につく。
歌手兼作曲家のドン・スパイクは、家長であることや健康悪化などに言及して善処を訴えた。彼は2010年に大麻容疑をかけられて控訴審で罰金500万ウォン(約50万円)を宣告され、同年10月に別件の麻薬疑惑で懲役1年、執行猶予2年を宣告された前科があった。
さらに2021年12月からの麻薬買収および投薬の疑いで、再び裁判にかけられたドン・スパイクは、今年6月に開かれた控訴審宣告公判で懲役2年を言い渡された。特に彼は5月に開かれた控訴審2次公判で、「父親の事業失敗と重病で、家長として犠牲になってきており、母親と弟が被告人のリハビリのためにあらゆる努力をしている」と善処を訴え、注目を集めた。
ドン・スパイク側の弁護人は、「1審公判でも麻薬を販売したり斡旋したりしたのは事実ではなく、ドン・スパイクが捜査に積極的に協力しており、拘禁期間中に健康が悪化して麻痺症状で反省文も書けないという点を参酌してほしい」と述べた。
それだけでなく新婚の妻が世話をしており、夫の意志を支援している点を表明したりもした。それでも裁判所は実刑を宣告してドン・スパイクを法廷拘束し、彼は判決を不服として最高裁に上告状を提出した状態だ。
偽りのてんかん診断を受けて兵役を免脱した疑いで、1次公判で懲役2年を求刑されたVIXX出身のRAVIは、公判当時、「被告人は会社の役職員への責任を負わなければならないという考えで誤った判断をした」とし、「反省して深い恥ずかしさを感じている」と訴えた。
彼は最終弁論で、「当時、私は会社で唯一、収益を創出できるアーティストであり、新型コロナ以前に締結した契約が新型コロナで履行が遅れており、入隊をすれば、巨額の違約金が発生する状況だった。服務延期が切実で、愚かで卑怯な選択をした」と打ち明けた。
それだけでなくRAVIは公判後、自身のインスタグラムに長文を載せ、再度自分が処された状況を説明したりした。
飲酒運転事故を起こした女優のキム・セロンは、偽りの生活苦を訴えて世論の袋叩きに遭った。
飲酒運転事故を起こした容疑で裁判にかけられたキム・セロンは、事故後は生活苦でアルバイトをしているとされ、注目を集めた。また、1次公判で彼女の代理人は「お酒を遠ざけており、保有した車両は売却した。被害補償金もすべて支給したが、莫大な被害賠償金で、キム・セロンだけでなく家族まで経済的な困難を経験している」と伝えた。
だがキム・セロンが事故を起こした後、誕生日を記念して飲酒パーティーを行い、彼女が「アルバイト中の写真」として公開した売り場で、キム・セロンがアルバイトをしたことがないことが明らかとなり、偽りの生活苦騒動が起こった。
大手法律事務所の検事出身の弁護士を選任した点、これ見よがしにアルバイトする姿をインスタグラムに公開した点も、やはり大衆の反発を大きくした。その後、キム・セロンのパブでの目撃談まで広がり、さらに議論を大きくさせた。
そんななかでキム・セロンは1審宣告公判当時、取材陣に「補償に最大限努めている。被害補償はすべて終えた」とし、「生活苦は私が訴えたのではなく、アルバイトをしたのは事実で、違約金が大きいのも事実」と釈明した。
また、罰金2000万ウォン(約200万円)を宣告されて法廷を出てきては、「飲酒運転をした事実自体は過ちなので、それに対しては言うことがない」としながらも、「事実でないことも記事がたくさん出てきて何とも釈明できない。一つひとつ指摘していくにはあまりにも多いので、どう話せばいいのかよくわからない。生活苦だ、違うという基準を私が決めたわけではなく、とても大変な状況であることは事実だ」と悔しさを表わしたりもした。
もちろん、彼らが本当に困難な状況に置かれており、ただ事実を知らせようとしただけなのかもしれない。だが犯罪行為の反対語が“生活苦”ではないように、生活苦を理由に減刑されたり、大衆に理解を望んだりするような姿は、簡単には共感されない。さらに犯罪行為に走った後、イメージを一新させて活動に復帰する事例もしばしば起きているだけに、大衆の立場ではそのような同情論に敏感に反応するしかない。
自らの選択で法を破り、すでに事件は起こって取り返しのつかない立場となった。それであれば生活苦を中心とした同情論で小細工をするよりも、過ちを真っ直ぐに認め、適切な処罰を受け入れるほうが、背を向けた世論を少しでも鎮める方法になるのではないか。
(記事提供=OSEN)
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