葛藤の核心のひとつは、HOOKエンタがイ・スンギに支給した音源収益精算金54億ウォンが妥当かという点だ。
HOOKエンタ側は12月16日、「イ・スンギ側が要求した金額が精算金額と大きな差がある関係で、双方が合意に至ることができなかった」とし、「精算問題で長く紛争したくないため、既支給精算金13億ウォン(約1億3000万円)相当の他に、未払い精算金29億ウォン(約2億9000万円)相当と、それに対する遅延利子12億ウォン(約1億2000万円)相当を全額支給した」と明らかにした。
しかしイ・スンギ側は、その支給額に反発し、法廷で争うという意志を強調した。
韓国音楽界では、メディアを通じて知られたイ・スンギの10年間の累計売上額が約90億ウォン(約9億円)台であるのであれば、HOOKエンタ側が支給した金額に大きな問題はないと見ている。
韓国音楽界の事情をよく知る関係者は、「10年間の累計売上額が90億ウォン台で累計制作費が約30億ウォン台だと計算した場合、累計利益は60億ウォン台に達する。通常、新人の場合、売上利益の10%が支給される」とし、「イ・スンギが毎年アルバムを制作したわけではなく、再契約をしたトップスターである点を踏まえると、29億ウォンと遅延利子12億ウォンは妥当に見える」と話した。
ただ、これはメディアを通じて知らされた金額を土台に、外部が一般的な計算をした金額であるため、両者の契約書などを綿密に調べる必要がある。また合意に失敗したと一方的に収益金を支払う“無礼”を犯した点は、HOOKエンタ側にマイナスに働く可能性がある。
韓国芸能界への関心の高い人々の間では、今回の事態でHOOKエンタの対応が遅れた理由について、「先立って起きた家宅捜索が決定打だったのだろう」という話が出回っている。
ソウル警察庁・重大犯罪捜査課は、経営陣の横領などを理由に去る11月、HOOKエンタを家宅捜索した経緯がある。その際、会社の主要書類が証拠物として押収され、イ・スンギ側と一部メディアに適時に対応できなかったという推測だ。
イ・スンギと若い頃から18年間も同じ釜の飯を食べてきただけに、HOOKエンタもやはり彼の“恥部”に対して誰よりも詳しいはずであるが、反撃できなかった背景には、そんな裏事情があるという見方が支配的だ。
HOOKエンタは現在、イ・スンギとの葛藤の他にも、クォン・ジニョン代表の個人的な問題で頭を悩ませている。最近、メディアを通じて知られた法人カードの流用問題が代表的だ。
報道によると、クォン代表は6年7カ月の間、個人的な用途で法人カードを使用し、その額は計28億ウォン(約2億8000万円)に達する。他にも母親や知人にも法人カードを提供し、実弟を職員として採用したりもした。
特にHOOKエンタは昨年、チョロッペム・メディアに440億ウォン(約44億円)で売却されただけに、背任横領の問題が発生する。それについてクォン代表は、「責任に対して回避せず、個人財産を処分して責任を負うようにする」という立場を伝えた経緯がある。
HOOKエンタ側は、一部メディアが報道したクォン代表個人の睡眠薬代理処方疑惑に対しては、「適法な手続きに従って代理処方を受けた」とし、該当メディアに刑事責任を問うと警告した。イ・スンギとの法的争いのみならず、その他の問題まで山積しているわけだ。
いずれにしても法廷争いで第2ラウンドを始めることになりそうなイ・スンギとHOOKエンタ。「支離滅裂な闘いになり、それを見守る大衆にも疲労感を与えてしまうだろう」と立場を明かしたイ・スンギの言葉通り、壮絶な第2ラウンドとなってしまうのだろうか。
■50億ウォン振り込まれたイ・スンギ、全額寄付を公言「お金じゃない。法廷で争う」