歌手兼俳優のイ・スンギが所属事務所HOOKエンターテインメントを相手に訴訟を起こした理由を自分の言葉で伝えた。
決してお金のためではなく、本日(12月16日)入金された50億ウォン(約5億円)も寄付すると明かした。
イ・スンギは12月16日、インスタグラムに長文を投稿した。
その文章で彼は、「今朝、約50億ウォンほどの金額が私の通帳に入金されたというメールを受け取った」とし、「おそらく私が単にお金を受け取るために法的対応をしたと考えているようだ」と話しを切り出した。
イ・スンギは「HOOKを相手に訴訟に乗り出したのは、滞ったお金のためではない」と強調し、「誰かが流した汗の価値が、誰かの欲望に不当に使われてはならないということ。これは私にできる最善の使命だと思う」と説明した。
そもそも入金された50億ウォンについても疑問符を投げかけた。「どのような根拠でどう計算したのかわからない。HOOKの計算方法が理解できないので、これからずっと法廷で争うことになりそうだ」と伝えた。
一方でイ・スンギは、「未精算金がいくらになっても全額を寄付する」と約束した。
彼は「ひとまず今日入金された50億ウォンから訴訟経費を除いた残りを全額、社会に返す予定だ。これは一朝一夕の考えではない。HOOKとの闘いを決心した瞬間、私が受け取るお金を貧しい人々のために全額使おうと決心した」と述べた。
イ・スンギは2004年のデビューから18年間、HOOKエンターテインメントに所属して活動し、計137曲を発表した。しかし所属事務所から音源収益の支払いを一度も受けていないとされ、去る11月15日、音源収益の内訳を公開してほしいという趣旨の内容証明を送った。イ・スンギの悲惨な状況に、一部からは“奴隷契約”だったと指摘する声も上がった。
それに対してHOOKエンターテインメント側は11月25日、音源収益の清算がゼロだったという疑惑は事実ではなく、合意書を通じてイ・スンギに対するすべての債権債務が整理されたと発表した。
イ・スンギ側は「HOOKの嘘の主張に対して深い遺憾の意を表する。明らかな事実は、HOOKがイ・スンギに音源収益発生の事実を故意に隠し、正確な内訳と根拠による清算が行われなかったということ」と反論。イ・スンギは12月1日、HOOKエンターテインメントに専属契約の解除を通知した。
そして12月16日、HOOKエンターテインメントは「長い間専属契約関係を維持してきたイ・スンギ氏と精算問題で長く争いたくないため、既支給精算金13億ウォン(約1億3000万円)相当のほかに、本日イ・スンギ氏に未払い精算金29億ウォン(約2億9000万円)相当とそれに対する遅延利息12億ウォン(約1億2000万円)相当を全額支給した」と伝え、「今回の件で最も大変で難しい時間を過ごしているイ・スンギ氏に、心より謝罪の気持ちを伝える」と頭を下げた。
ただイ・スンギが今回発表した立場を見る限り、問題はまったく解決しておらず、法廷争いは避けられない見通しだ。
イ・スンギの公式立場全文は、以下の通り。
◇
久しぶりにご挨拶します。アンニョンハセヨ(こんにちは)、イ・スンギです。
実は、私はそんなに「アンニョン(安寧)」ではありませんでした。裏切りに怒り、失望感に挫折し、ある日は恨みを、また違う日は自責することを繰り返して過ごしていました。
今朝、約50億ウォンほどの金額が私の通帳に入金されたというメールを受け取りました。HOOKエンターテインメントは、おそらく私が単にお金を受け取るために法的対応をしたと考えているようです。そのありふれた音源精算書を一度ももらったことがなかったのですが…。また、このように一方的に「未払い金」支給という名目で事件を決着させようと思っているようです。
私は今まで音源精算で受け取れるお金があることも知らずに過ごしました。「マイナス歌手」と言われながら、18年間耐えてきましたから。そんな私がHOOKを相手に訴訟に乗り出したのは、滞ったお金のためではありません。誰かが流した汗の価値が、誰かの欲望に不当に使われてはならないということ。これは私にできる最善の使命だと思いました。
今50億ウォンが入りました。もちろん、どのような根拠でどう計算したのかわかりません。ただ、HOOKの計算方法が理解できないので、これからずっと法廷で争うことになりそうです。支離滅裂な闘いになるであろうし、それを見守る大衆の方々に疲労感を与えて申し訳ないという言葉を先に伝えます。
ただ約束できるのは、未精算金がいくらになっても、全額を寄付するということです。ひとまず今日入金された50億ウォンから訴訟経費を除いた残りを全額、社会に返す予定です。これは一朝一夕の考えではありません。HOOKとの闘いを決心した瞬間、私が受け取るお金を貧しい人々のために全額使おうと決心しました。
私は今まで音源精算金を知らずに生きていました。もちろん、今日受け取った50億ウォンは私にとってもとても大きくて大切なお金です。私の10代、20代、30代の汗が入ってる…。しかし、このお金が私よりも貧しい方々のために使われることになれば、私が感じる幸せと価値は、単純に50億以上だと思います。
来週から寄付先の関係者の方々と会って、具体的な計画を進めます。本当に体が不自由で身動きさえできない方が多いです。夢があるが、状況のせいで途中で諦める人も多いです。命が危険な状況で、まともに措置を受けられない方もいます。そんな方々を皆助けるために50億ウォンは足りないかもしれません。しかし、小さな一歩から実践に移します。
そして何よりも今回のことを経験しながら、多くの方々が応援してくれました。一緒に怒り、慰めてくれ、大きな力になりました。自分が愛される存在だということを改めて感じさせてくれ、ありがとうございます。その愛を私が少しでも社会に返すことで、お応えします。
暖かい年末になることを願いながら、いつものように自分の道を誠実に歩いていきます。
◇イ・スンギ プロフィール
1987年1月13日生まれ。2004年にソロアルバム『The Dream Of A Moth』でソロ歌手としてデビューした。歌手のみならず、バラエティや俳優業でも頭角を現し、マルチタレントとして活躍。オーディション番組『PRODUCE 48』ではメイン司会役を務めた。主な出演作にドラマ『華麗なる遺産』『キング~Two Hearts』『花遊記』『Vagabond/バガボンド』などがある。
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