「イニシャル報道の慢性的な問題」とも…韓国芸能界を襲うネットユーザーの“魔女狩り”とは

2022年09月13日 話題

同ユーザーは「ちょっと有名な俳優」「言えばみんなわかると思う」などと書き込み、ネット上の関心を増幅させた。

ネットユーザーは2006年にデビューした男性俳優をリスト化し、初作品が地上波ドラマである俳優を選び始めた。そのなかで、目撃談を参考に認知度のある俳優を推測で探した。

そうして言及されたのが、パク・ヘジンとイ・ムセンだった。

このようなネット上の盛り上がりを見て、いくつかのメディアは取材をすることなくイ・ムセンのSNS文を記事化した。また、一部のネットユーザーは間違った確信を抱いたまま、彼らを非難するに至っていた。

結局、事件と関係のない俳優たちの所属事務所は強硬対応に出た。イ・ムセン所属事務所のエイリアンカンパニーは11日、公式SNSを通じて「根拠のない虚偽事実の流布が続く場合、法的手続きを通じて強硬対応に出る」と伝え、疑惑を否定した。

パク・ヘジン所属事務所のアーティストカンパニーも同日、「当該内容を作成および流布した人々を対象に、強力な法的対応を進める予定だ」として線を引いた。

その後、A氏は2006年のKBS2ドラマ『透明人間チェ・ジャンス』で芸能界入りした1981年生まれの俳優イ・サンボであることが明らかになった。

(写真=KBS)イ・サンボ

イニシャル報道が抱える問題点

イニシャル報道の目的は事件当事者のプライバシー保護だ。

しかし最近は、そうした善良な意図も無視され、パク・ヘジンやイ・ムセンのような罪のない人物に疑惑の目が向けられることに対し、残念だという反応が数多く出ている。

今年6月に夫が振り回した凶器に刺された40代の女優として言及されたチェ・ジウや、今年2月に1988年生まれで3人組ガールズグループ出身の不倫女として名指しされた「Gavy N.J」メンバーのジェニーとソリン。

昨年10月に女優ホ・イジェに対する暴言を日常的に行い、性的関係を要求して彼女の引退を決心させた俳優という疑いを受けたオ・ジホなども類似の事例だ。

左からチェ・ジウ、パク・ヘジン、イ・ムセン

こうした事件について実名報道を要求する声も少なくない。ただ、イメージが最大の命である芸能人は、事実の有無と関係なく事件に関連のある人物と言及されるだけで決して小さくないダメージを受ける。

それだけに、慎重に物事を決定しなければならない問題でもある。

無罪推定の原則に基づき、裁判所の判決が下されるまでは被疑者の身分を守らなければならないという意見も同じ脈絡からくるものだ。

業界関係者たちは、「言論の倫理的な報道とネットユーザーの意識水準向上が最善」と口をそろえる。なかでもテレビ関係者のA氏は、このような現状を次のように批判した。

「多くのメディアが有名人のニュースを報じるとき、人権を保護するためにイニシャルを用いるが、結局はこのような報道によって、人的事項が似ている人々が被害を受けてしまうケースが多い。人権保護を目的としながら、人的事項をこっそりと組み込んで読者の好奇心を誘発する装置として活用されるのではないかという心配もある」

「特に、この読者の好奇心がネットユーザーの“虚偽事実流布”につながる点も牽制しなければならない。人権を保護するという名目のもとでなされるイニシャル報道が、誰かの人権を害する結果に向かうならば、自省する姿を見せなければならない」

また別の関係者B氏も、「イニシャル報道から始まった魔女狩りは、過去から慢性的な問題を抱えていた」と強調した。

「普通は誰かを特定することができないようにイニシャルを用いるが、一方では特定することができず無関係な人々が言及され、結局被害者として残ってしまう。このような言及が過度になればなるほど、世間が事件の本質を見るより“A氏探し”に熱中して終わってしまう。これはある程度の遊びの形として受け入れられ、また新たな犯罪を生み出してしまう可能性がある。関係のない人に焦点を合わせることを警戒し、事件をもう少し把握しなければならない義務がある」

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