朝鮮王朝で一番ひどい“極悪ファミリー”とは?

狡猾な尹元衡は、姉の威光を利用して大出世を果たしていった。そんな尹元衡が政敵を粛清するために画策した陰謀が、1547年に起こった良才(ヤンジェ)駅壁書事件である。

事件の発端は、都の南にあった良才駅で政権批判の張り紙(壁書)が発見されたことだった。そこには、「上では女王が、下では奸臣が権力を占めているから国が滅びてしまう」ということが書かれてあった。

尹元衡は政敵の仕業であると捏造し、「女王」と名指しされた文定王后の指示をあおぎながら、この張り紙を大問題に仕立てあげた。

その結果、尹元衡の政敵はことごとく排除されてしまった。こうなると、尹元衡の横暴ぶりも限界がなくなる。姉の文定王后が「陰の女帝」として君臨していることを利用して、尹元衡はあまりにひどい賄賂政治を続けた。

そんな尹元衡の妾となったのが鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)だ。

ドラマ『オクニョ 運命の女』に登場する鄭蘭貞(女優パク・チュミ)

この鄭蘭貞は、文定王后の手先となって数々の悪事に手を染めた。しまいには、尹元衡と共謀してその妻を毒殺し、自分が妾から正妻になった。授けられた品階は従一品。信じられないほど高位の身分を獲得した。

まさに、極悪のトライアングル。

文定王后と尹元衡と鄭蘭貞……これほどひどいファミリーは他にいなかった。

(文=康 熙奉/カン・ヒボン)

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