10代の妊娠・出産を扱った放送に対して韓国で賛否両論…「多様な家族の姿」か「刺激的なテーマ」か

2022年04月26日 テレビ

10代の妊娠と出産を扱った番組やドラマが相次いで放送され、韓国では「多様な家族の姿を見せてくれる」という評価と「刺激的なテーマとして活用されているだけ」という正反対の反応が出ている。

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MBNのバラエティ番組『大人は知らない、高校生ママパパ』(原題)は、“刺激的なテーマ”として活用されているという批判に直面している。

去る3月6日に初放送された同番組は、若くして親になった10代のママ、パパのリアルな日常から成長する姿を発見し、本当の家族の意味を探そうという企画意図を持ってスタートした。

番組MCのパク・ミソンは『高校生ママパパ』の初放送で、番組の趣旨について「(10代の出産を)支持したり正当化したりする趣旨ではなく、生まれた子供が保護されることは当然のこと。どんな人生を生きているのか、率直な姿をお見せする時間にしたい」と話した。そして番組では、10代で妊娠、出産を経験して育児する様々な母親の姿を紹介した。

しかし企画意図とは違い、放送直後から番組に対する批判的な声が上がった。放送では子供たちの初体験の平均年齢を13.6歳と公開するなど、刺激的な話題が登場した。放送後、中高生の子供を持つ親の視聴者から否定的な反応が目立ち、オンライン上でも「子供たちが真似しないか心配だ」と憂慮する声が多かった。

最近は『高校生ママパパ』出演者のAさんが、夫B君を脅迫した疑いなどで接近禁止命令を受けた事実が伝えられ、衝撃を与えた。

(画像提供=MBN、tvN)『高校生ママパパ』(左)と『私たちのブルース』

ドラマでも高校生の妊娠がテーマに

またNetflixでも配信中のドラマ『私たちのブルース』(tvN)も、最近の放送で未成年者学生の妊娠を美化しているとの批判を受けている。

4月23日に放送された第5話は、犬猿の仲の父親たちの間で愛を育んだ「済州島のロミオとジュリエット」といえるチョン・ヒョン(演者ペ・ヒョンソン)とパン・ヨンジュ(演者ノ・ユンソ)が主人公の「ヨンジュとヒョン」のエピソードで構成された。

高校生の2人が妊娠を知り、その悩みと葛藤が描かれており、最終的にどんな選択をすることになるのかと興味を引いた。

劇中のヨンジュは、もともと窮屈な済州島を離れるのが目標の高校生だった。そのため全校1位を逃さず、ソウル大学への進学を夢見ていた。しかし避妊をしたにもかかわらず妊娠し、ヨンジュは妊娠中断を決心する。

ヒョンは「もう少し考えてみよう」と冷静に話したが、ヨンジュは「どうやって産むの?大学は?あなたの人生も私の人生もすべてをかけて産むほど、私たちの愛がすごいの?」と反問した。病院で会ったヒョンとヨンジュは、一緒に診療室に入った。医師は超音波で胎児の心臓の音を聞かせ、2人は手を握った。そして毅然としていたヨンジュは、ついに涙を流した。「ヒョン、怖い。赤ちゃんの心臓の音は聞きたくない」と泣くヨンジュの姿がエンディングを飾った。

最高視聴率9.1%で多くの話題を集めている『私たちのブルース』だが、青少年の望まない妊娠と出産によって直面する現実に対して、説明なしにロマンチックに描いた点が残念だという反応が続いている。

2019年、韓国の憲法裁判所は「女性の身体自己決定権」を尊重すべきだとして刑法の堕胎罪に対して憲法不合致決定を下し、堕胎罪は2021年1月1日付けで効力を喪失した。したがって韓国で妊娠中断は、犯罪ではなく権利となった。しかしメディアでは依然として妊娠中断を悲しく、秘密裏に進めなければならないものとして描いている。

否定的な見方とは対照的に、10代の妊娠と出産をテーマにした放送が、多様化しつつある家族の姿を見せ、10代の妊娠・出産を語れるテーマにしたという評価もある。

韓国の産婦が第1子を産む中位年齢は32.3歳(2020年基準)で、OECD加盟国の中で最も年齢が高い。また韓国の婚外出産の割合は、極端な最下位だ。2020年、婚外出産で産まれた赤ちゃんは6876人(2.5%)。OECD平均の婚外出生率は41%となっており、韓国で未婚の母と10代出産の現実は、どの国よりも容易ではないことを立証している。

「テーマの刺激性」と「家族形態の多様性」の間で10代の妊娠・出産を描いた放送が、結果的に韓国社会にどんな波紋をもたらすのか、最後まで見守るべき問題だ。

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