放送中止を求める声は30万人、ついに法の判断へ…韓国ドラマ『スノードロップ』の責任とは

2021年12月24日 テレビ #韓国ドラマ

ドラマ『スノードロップ』をめぐる論議が雪だるま式に大きくなり、今後の放送への影響が必至だ。

【注目】韓国ドラマ『スノードロップ』の問題点とは?

放送前から歴史歪曲の論議が浮上した「Disney+(ディズニープラス)」配信中のドラマ『スノードロップ』(JTBC)の議論が激化している。放送が始まれば「誤解は解消する」としていた制作陣の期待とは、どうも違う様相だ。

『スノードロップ』は、大ヒットドラマ『SKYキャッスル』の脚本家ユ・ヒョンミとチョ・ヒョンタク監督の再タッグ、俳優チョン・ヘインとBLACKPINKのジスの共演で注目されたが、それ以上に民主化運動を歪曲したという批判に直面しながら難航を経験している。

1987年の大統領選挙を背景に繰り広げられる政治的陰謀と諜報戦を扱う『スノードロップ』は、制作段階の未完成なシノプシス(あらすじ)の一部がオンラインに流出し、「南派スパイが民主化運動を主導している」「学生運動をリードした特定人物をキャラクターに反映している」「安企部(安全企画部、現国家情報院)を美化している」などの疑惑が提起された。

(写真提供=JTBC)『スノードロップ』のチョン・ヘイン

そんな声に対して、去る12月16日の制作発表会でチョ監督は、議論の内容は初放送で直接確認してほしいとし、「放送前から(憶測の話が)出てくるのは創作者として苦痛であり、圧迫だ」と訴えた。

放送中止を求める請願に30万人が賛同

しかし制作陣の期待とは異なり、『スノードロップ』は第1話、第2話の放送を通じて、運動圏の学生と誤認されるスパイ(男主人公)、本物のスパイを追う特別な事情を持つ安企部の描写などで、民主化運動を歪曲したという反発に直面した。

さらに『スノードロップ』の放送中止を求める国民請願が、たった2日で30万人の賛同を集めた。故パク・ジョンチョル烈士側も遺憾の意を表した。スパイを追う安企部チーム長の行動が犠牲者として登場しているという指摘だ。

しかし、そんな懸念のなかでもJTBCは『スノードロップ』の放映を中断しないという立場だ。

JTBC側は「ドラマの中の人物と機関、設定などはすべて仮想」とし、「今後の展開を見守ってほしい」と再び要請した。

ただその解明は、むしろ議論の火に油だけを注いだようだ。運動圏の学生と誤認されたスパイの男主人公や、安企部要員を特別な事情を持つ人物として描いた点など、歴史歪曲論議の中心となっている事案については明確な解明を出さなかった。

(写真提供=JTBC)『スノードロップ』のチョン・ヘインとBLACKPINKジス

ドラマの広告・協賛企業も次々と“損切り”に乗り出した。3大制作支援会社がすべて『スノードロップ』に対する支援を撤回した。中小規模の協賛企業も『スノードロップ』側に放送字幕の削除と製品の露出中断を要請した。男主人公を演じる俳優チョン・ヘインが広告モデルのチキンブランドまで『スノードロップ』の広告を中断し、ホームページに謝罪文を掲載した。

昨年3月に歴史歪曲議論で制作支援会社が次々と撤退し、2回の放映だけで廃止となったSBSドラマ『朝鮮駆魔師』(原題)の二の舞になるのではないかという声も出ている。

議論は政界にも広がった。「正義党」のシム・サンジョン大統領候補は「厳しい時代に光を照らすなら、その主人公は独裁政権の安企部や南派スパイではなく、韓国の民主主義のために血と汗、涙を流した韓国の普通の市民にならなければならない」とし、「創作の自由は歴史の傷の前に謙虚でなければならない」と一蹴した。

「共に民主党」ユン・ヨンチャン議員も、「世界の人々が韓国民主主義の歴史をどう受け入れるかが懸念される」とし、「制作陣と放送社の歴史認識に対する覚醒を求める」と批判した。

法の判断を受ける事態に

最終的に『スノードロップ』の歴史歪曲論議は、法の判断を受けることになった。

(画像提供=JTBC)『スノードロップ』

青年市民団体である世界市民宣言は12月22日、ソウル西部地方裁判所に『スノードロップ』に対する上映禁止仮処分申請を提起した。特に、この作品が「Disney+」を通じて世界中に配信されるという点で、懸念は加重されると批判した。

裁判所がどんな判断を下すのか注目が集まったなかで、業界からも様々な意見が出ている。

とあるドラマ関係者は「“意図がなかったから大丈夫”といった形でスルーすることはできない」とし、「“事件と背景は実際とは関係がない”という字幕だけで免罪符を受けることはできない。敏感なテーマを扱うだけに、制作陣がもう少し責任の意識を持たなければならなかった」と指摘した。

いくらフィクションでも、複雑な歴史を持つ国家と民族という国民的な“悩み”を無視することはできないということだ。

ただ『朝鮮駆魔師』のような事例が繰り返されることに対する懸念もある。ドラマの設定に対する過度な介入が、創作の自由を損なう可能性があるということだ。

とあるドラマ制作会社の関係者は、「コンテンツの開始段階から協賛が途切れ、放映中断が要求されて『朝鮮駆魔師』のように放送廃止につながる事例が続くと、歴史的事実に想像力を加えたコンテンツがこれ以上出るのは難しくなるだろう」とし、創作者が自己検閲に陥る状況を憂慮した。

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