人気歌手ヨンタクをめぐる音源を買い占めてチャートを操作したという疑惑が2年間の議論の末、ついに事実であることが明らかになったが、すっきりしない後味が残る。
はっきりしない解明なしに論議を覆うだけだった所属事務所に守られてきたヨンタクが、はたしてこの状況を本当に知らなかったのだろうかという疑問が残るからだ。
去る11月1日、音源買い占め疑惑で警察の調査を受けたヨンタクの所属事務所MILAGROエンターテインメントのイ・ジェギュ代表が、起訴意見で検察に送致された。議論が提起された時点から約2年ぶりのことだ。
その事実が報じられると11月4日、イ代表は謝罪文を上げ、「懸念と心配をかけて心から申し訳ない。深く反省して後悔している。個人的な欲によって、しばらく理性を失い、やってはならない行動をした」と頭を下げた。
そして「今回の件は私が独断的に進行した。長い無名時代の末、オーディション番組で自分の能力だけで注目されるようになったアーティストに、迷惑をかけて申し訳ない」と、ヨンタクが知らなかったことを強調した。
TV朝鮮のオーディション番組『ミスター・トロット』(原題)が放送され、ヨンタクが人気絶頂だった昨年2月、初めて音源買い占め疑惑が浮上すると、ヨンタクの所属事務所は1カ月後に「事実ではない」という遅れた立場を発表した。
当時、ヨンタクもファンカフェに「心配しないでください。私は先生として子供たちに教えるなど、誰よりも正直に一生懸命音楽をしてきた。それを私の周りのすべての放送関係者と知人が保証するだろう」と立場を明らかにした。 。
解明といえば解明なのだが、なんともすっきりしない解明だった。結局、2年後には「事実ではない」という立場が「すべて事実だ」に変わったが、いざ音源買い占めに対する本当の解明はイ代表だけが行った。11月4日、ヨンタクのSNSには自身が作業に参加したASTROのMJの広報映像だけが上がっている。
ヨンタクは今年7月にも議論に包まれた。「ヨンタクマッコリ」を生産した会社との商標権紛争だった。『ミスター・トロット』出演当時、ヨンタクが『マッコリ一杯』という曲で人気を集めると、同社はヨンタクとモデル契約を結んでヨンタクの名を冠したマッコリを発売した。
しかし両者の縁は、わずか1年後の今年7月に終了した。以降、その会社は「ヨンタク側から計150億ウォン(約15億円)の商標関連の現金と会社の持分を要求した」と暴露した。続いて、ヨンタクの家族が会社側に無理な要求をしたという暴露も飛び出した。
自分の家族が介入した議論であったにもかかわらず、ヨンタクは沈黙で一貫した。議論が大きくなると所属事務所は、マッコリ会社を恐喝脅迫の疑いで訴えた。ヨンタクは花道だけを歩いたが、所属事務所は連日のように孤軍奮闘だった。
そもそも歌手ヨンタクは、長い無名時代を過ごして現在の地位を得た。歌手個人の努力も当然あっただろうが、彼の影になってくれた所属事務所のメンバーたちが流した汗も大きかっただろう。
しかし現在のヨンタクは、煩雑なことには耳を塞いだまま自分を支えるファンの蜂蜜のように甘い話だけを聞こうとしているようだ。歌手としての彼の外皮は、2年前よりもかなり厚くなった。歌手として大きくなったからこそ、それと同じくらいの責任感と善良な影響力が必要な時だ。
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