「十分な覚悟をもって挑戦したにも関わらず、たくさん迷った。一話を直接自分の目で見てやっと理解できたほどだ。思っていたよりずっと大変だった。
通常であれば相手役と相談したり一人で研究するようなシーンでも、二つのキャラクターがぶつかり合うようにして工夫を重ねなければならなかった。イ・ホンとハソン。二人の登場人物の呼吸を一人で合わせる必要があったから、判断に迷ったりもした。幸いにも一話のエンディングを見てからは、少し感覚を掴めた。しかし、“もう少し早く気持ちを楽にしていれば新しい表現ができたかもしれないのに”という若干の口惜しさもあった」
そんなヨ・ジングに一人二役を演じるチャンスが再び訪れたらどうするのかと尋ねると、「今回との比較ができるチャンスだ。むしろイ・ホン&ハソンチームと良い勝負をしなければ」と積極的な姿勢を見せた。
王妃ソウンとの切ないロマンスも、『王になった男』がお茶の間の視聴者を惹きつけた要因の一つだ。
ソウンを演じたイ・セヨンについては「感謝することがとても多い」という。
「いつも笑顔で、リハーサルをするときも積極的な提案をして頂けた。現場の雰囲気も明るくしてくれて、本当に感謝している。僕がやろうとしたことに対して、僕以上に努力してくれる。まさに、ハソンがソウンを信頼しきっているのと同じだった」
女性との交際経験が一度もないことで知られるヨ・ジング。
リアルなロマンス演技の秘訣について聞いてみると「恋愛経験がないからといって、ロマンスが不可能ということはないようだ」と前置きをして、自身の経験談を話した。
「直接的な経験をすればまた変わるかもしれない。だけど、自分自身がロマンスを感じながら演技をすれば、それは本物だと思う。実際にときめきを感じながら撮影に臨んで、切ない感情を持つようにしている。
そうしてできたのが、朝鮮時代の愛を経験した人間だ。こんな経験は世界中どこにいてもできないだろう。(今回の演技で)愛というものがどんなに重くて、大変なことかわかった。むしろ恐怖すら感じたほどだ」
ヨ・ジングは『王になった男』で知られる以前からドラマ『太陽を抱く月』(MBC)で高い演技力をしており、今や時代劇に強みを持つ俳優として知られている。
まさに『太陽を抱く月』は現在のヨ・ジングを作り上げたといっても過言ではない作品だが、ヨ・ジングは自ら当時を振り返り「あの頃は、ただ楽しく演技をしていた」と話す。
「『太陽を抱く月』のときは深く考えずに言われるがまま演じていた。『王になった男』の撮影にはあの頃よりずっと鋭い視点をもって臨んだけれど、それだけ悩みも多かった。これまでの作品の中で、一番たくさん悩んだ」
ヨ・ジングは最後に「今年はたくさんの人たちに新しい一面を見せることが出来そうだ」と話し、感謝の気持ちとこれからの抱負を伝えた。
「『王になった男』を通じて、人々に愛されながら幸せに過ごすことができて嬉しい。忘れられない年にすることができたから、すべての人に感謝している。僕という俳優を受け入れてくださったことが大きな感動だ。この気持ちをずっと忘れずに、これからも熱心に活動したい」