『愛の不時着』『パラサイト』を生んだCJ ENMが「5年間で5000億円を投資」の仰天ビジョン発表

2021年05月31日 話題

ドラマ『愛の不時着』や映画『パラサイト 半地下の家族』、オーディション番組『PRODUCE』など、大ヒットした韓国コンテンツを生み出しているCJ ENMが、差別化された“Kコンテンツ”を土台にグローバルなトータルエンターテイメント企業を目指すビジョンを提示した。

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CJ ENMのカン・ホソン代表理事は5月31日、ソウル麻浦(マポ)区のCJ ENMセンターで開かれた記者懇談会で、5年間で5兆ウォン(約5000億円)以上のコンテンツ投資を実行する計画だと明らかにした。

CJ ENMは、コンテンツ制作能力の高度化、音楽メガIPの確保、デジタル力量の強化、制作力量のグローバル化を通じて、トータルエンターテイメント企業に成長する計画だ。

5年間で5兆ウォン、コンテンツへの投資

カン代表は「双方向のコミュニケーションとコンテンツ制作形態を多様化し、様々な顧客のニーズを満たす完結型エンターテイメント企業になる」とし、「IP量産システムとインフラを構築しながらコンテンツへの投資を増やしていく。今年だけで8000億ウォン(約800億円)のコンテンツ投資費用が決まっている」と述べた。

彼は、「CJ ENMは放送事業者や映画制作配給会社ではなく、エンターテイメント企業であるのに、市場からの信頼を得られなかった。市場と持続的にコミュニケーションし、信頼を取り戻せるように最善を尽くしたい」と口を開いた。

(写真提供=CJ ENM)カン・ホソン代表理事

続けて「CJ ENMはコンテンツ産業に長年投資した情熱があり、映画『パラサイト 半地下の家族』、BTSの快挙があり、韓国ドラマが大きな人気を得た。1995年からのコンテンツのすべての分野に多大な投資を惜しまず、名実共に韓国最大のコンテンツ企業としての地位を確立した。韓国1位のコンテンツ企業に落ち着かず、世界中の顧客に最高の楽しさをプレゼントするグローバルトータルエンターテイメント企業に生まれ変わる」と強調した。

CJ ENMは、韓国No.1スタジオとして源泉IPの映像化で不動の1位を築き、より多くのクリエイターを確保・育成しながらLTV(Lifetime Value)のフランチャイズIPを持続的に確保する完結型の自己制作生態系を完成させ、多彩なジャンルと様々な流通網、プラットフォームに結合していく計画だ。

カン代表は、「今後オーディション番組や各種放送番組を活用して、K-POPアイドルを作る」とし、「日本はもちろん、アメリカでもK-POPアイドルが誕生している。CJ ENMが持つすべての力を動員してK-POPのメガIPを確保する」と述べた。

Netflixとの競合も?

何よりもCJ ENMは、自分たちのOTT(Over The Top:オンライン動画サービス)プラットフォーム「TVING」を通じて、デジタル能力を強化し、グローバルな展開を図っている。

カン代表は「韓国1位のOTTプラットフォームに成長するために惜しみない投資をする。デジタルプラットフォームの特性に最適なコンテンツを制作してD2C(Direct to Consumer)事業を展開し、独自のデータを確保。それをもとに消費者のニーズを満たす」と説明した。

TVINGのヤン・ジウル共同代表も、「KコンテンツのNo.1プラットフォームとして飛躍する。2020年のローンチ後、量的・質的な成長を見せているが、2023年までに加入者800万人を目標にしている。現在、JTBCやNAVERとのコラボを通じてシナジー効果を出しているが、NetflixやアマゾンなどのグローバルOTTとの競争であるため、100編余りのオリジナルコンテンツを制作している。2022年には本格的にグローバル進出するだろう」と話した。

TVINGのイ・ミョンハン共同代表は、「CJ ENMとJTBCの人気番組のスピンオフ形式で新しい楽しさを提供したい。TVINGオリジナルの投資の50%以上をフランチャイズIPの育成へと拡大し、ファン層の強化を図ってアジアのマーベル(Marvel)になる」とし、「多様なファン層の様々な趣向を満たすためにドラマ、バラエティ、映画を超え、アニメーション、ドキュメンタリー、スポーツまで用意されてている」と述べた。

(写真提供=CJ ENM)TVINGイ・ミョンハン共同代表

グローバルOTTとの競争について、イ共同代表は「競合他社に比べて市場で認められたものはないが、今後の戦略とビジョンを提示した。韓国1位のOTT事業者へと進むには、Kコンテンツの“行列店”にならなければならない。それが私たちではないかと思うし、それが長所だと思う。リアルタイムストリーミングを提供するわけだが、テレビとOTTは結局のところ、コンテンツという共通項がある」と答えた。

またCJ ENMは、Kコンテンツのグローバル化を通じて意味のある成果が出ており、多くのグローバル企業と仕事をしていると明らかにした。マルチコンテンツスタジオであるCJライブシティを通じて、クリエイターが自由にKコンテンツを作成し、世界中のファンが実際に、あるいは仮想的にKコンテンツを体験して楽しむことができる環境を作っているとした。

コンテンツ市場の構造に「変化を」

この日、カン代表は受信料をはじめ、現在のコンテンツ市場の構造に対する問題点も指摘した。

「グローバルOTTに隷属化する可能性がある。Kコンテンツの優秀性と同じくらい、流通と分配などの市場構造も先進化されるべきだ。受信料を通じて私たちは制作費の3分の1を受け取るのだが、アメリカでは100%だ。私たちは付加収益でこれを埋めなければならないが、某地上波では2話でドラマが打ち切られたりもした。私たちが変わらなければ、グローバルOTTに並んで110~120%を受け取る下請けになる」と憂慮した。

CJ ENMは自分たちだけのKコンテンツで、グローバルトータルエンターテイメント企業への跳躍を知らせ、事実上の原動力の軸としてTVINGを挙げた。ただCJ ENMは、コンテンツを制作するスタジオとしての立場、様々なチャンネルを持つ放送事業者としての立場、そしてTVINGというOTTプラットフォームまで運営するため、それに伴う相反する点が明らかに存在する。

例えばTVINGはNetflixと競合だが、CJ ENMのコンテンツは現在、Netflixを通じて世界中に配信されている。今後、TVINGが成長する過程で、CJ ENMは複数の選択をしなければならない。

ヤン共同代表は「一人の顧客が複数のOTTを使用する。様々なOTTが他とは違うポジショニングを顧客に訴求しており、TVINGの戦略も同じだ。Kコンテンツのなかには、韓国から海外に行きながら、TVINGだけのエッジの効いたコンテンツを与えるだろうし、NetflixにはCJ ENMの次元で提供するが、TVINGとは異なるようだ」と答え、カン代表も「OTTがプラットフォームの大勢になると、最終的に様々なOTTを見るため両立は可能で、衝突する場合は私たちが主導する」と付け加えた。

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