『ヴィンチェンツォ』など韓国では女性監督が活躍中、性別ではなく1人の演出家として見る時代に

2021年05月12日 テレビ #韓流ドラマ
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韓国では今、女性監督らの活躍が喜ばしいシナジー効果を生み出している。これまでバラエティ番組や映画では多くの女性脚本家が輩出されてきたが、女性のドラマ監督は希少な存在だった。

しかし昨今、女性監督らがドラマで際立つ存在感を放っている。放送が終了したにもかかわらず、再放送や続編の要望が殺到しているtvN『ヴィンチェンツォ』のキム・ヒウォン監督と、JTBC『怪物』(原題)のシム・ナヨン監督が潮流の中心だ。

特筆すべき点は両者ともノワール作品がヒットしたという点だ。キム・ヒウォン監督はドラマ『カネの花~愛を閉ざした男~』(MBC、2017年)、『王になった男』(MBC、2019年)で、感覚的な演出が認められてきた監督だ。

『ヴィンチェンツォ』『怪物』などノワール作品がヒット

反面、ブラックコメディの『ヴィンチェンツォ』では、サイダーのようにスカッとした展開を支える爽やかな演出が際立っていた。そして太陽や光を利用したいくつかのシーンでは、GIF画像が作られるほど作品と同じくらい演出した監督に対する関心も高かった。主人公ヴィンチェンツォを演じたソン・ジュンギも、「キム・ヒウォン監督という良い船長に出会えたから完走できた」と好評している。

【関連】韓ドラ界に異変、なぜ今『ヴィンチェンツォ』がヒットしたのか?

そしてドラマ『十八の瞬間』(JTBC、2019年)で初々しいピュアラブストーリーを披露したシム・ナヨン監督は、次回作にスリラー作品『怪物』を選び注目を集めていた。シン・ハギュンやヨ・ジングなど、“信じて見られる俳優”たちの熱演を一層引き上げる繊細さが際立った作品だった。

(上から)『ヴィンチェンツォ』『Mine』『怪物』(原題)の記者会見の様子

『怪物』は韓国で、「作監配(作家+監督+俳優)」の3拍子が合わさったウェルメイド作品と呼ばれ好評を博した。シム・ナヨン監督は2017年にデビューして以来、独自のキャリアを築いてきたが、最も強烈な『怪物』でドラマ監督としての地位を固めた。単に女性監督であるだけでなく、新世代の訪れを感じさせている。

女性監督ならではの作品も

5月8日に初回が放送されたドラマ『Mine』(tvN、Netflixで同時配信)のイ・ナジョン監督も外せない存在だ。これまでKBS2ドラマの『優しい男』(2012年)、『オー・マイ・ビーナス』(2015年)、『サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~』(2017年)や、Netflixで配信中の『恋するアプリ Love Alarm』シリーズなど、主にロマンスやラブコメ作品を手がけてきたイ・ナジョン監督だが、最新作の『Mine』では主演女優のイ・ボヨン、キム・ソヒョンを前面に押し出した、強靭な女性たちの物語となっている。さらにドラマ『品位のある彼女』(JTBC、2017年)などで知られる脚本家のペク・ミギョン氏まで加わり、「ドリームチーム」を完成させた。

キム・ヒウォン監督とシム・ナヨン監督がノワール作品に挑戦したならば、イ・ナジョン監督は女性による良いコンビネーションでシナジー効果を生み出している。現在2話まで放映された作品の評価も上々のようだ。

「性別で選ぶ時代ではない」

もはや性別で区別することが無意味で、作品性と演出力が最重要という至極当然の状況になってきている韓国のドラマ界。

とあるテレビ関係者は「最近は多くの女性監督たちが、骨太のテーマ、心理スリラー、バスター級ドラマなど様々なジャンルに挑戦し、果敢な演出を見せてくれている」とし、「もちろん、女性監督ならではの繊細な演出感覚も卓越した演出力の秘訣の一つかもしれないが、演出スタイルだけで見ると監督の性別は特に区分されていないようだ。むしろ現場では俳優の気持ちを細かく察するなど、現場統率においては女性監督の優しいカリスマ性が強みだと思う」と述べている。

(写真=tvN、JTBC)ドラマ撮影中の様子

また、ほかの関係者は「最近はジェンダーに対する関心が高まったことで、女性監督の活躍が際立って見えたり、女性監督という点がより有意義に感じられたりする部分もあるようだ」とし、「また、女性監督の感性やコミュニケーションの柔軟さなどが長所になる部分があるようだ」と説明した。事実、『ヴィンチェンツォ』や『怪物』に参加した役者たちは、口を揃えて現場への高い満足度を示している。

単に監督職群だけでなく、作家にも女性たちの占有物でない男性作家たちも頭角を現し、韓国のテレビ界は過渡期を迎えている。一例として『ヴィンチェンツォ』の脚本家パク・ジェボム氏は、最近のドラマ界を率いるニュースターとして浮上している男性脚本家だ。

所属事務所の関係者は「今は作品を選ぶ際、監督や作家を性別で選ぶようなことはなく、1人の人間として見られるようだ」とし、「各業界で性別による偏りはあるかもしれないが、映画やドラマの演出は男性が多かった職業だ。しかし最近では、大衆から好評を得ている作品が女性監督のものが多く、多様な視線があるのではないかと思う。女性監督が注目されていることに特別さや新鮮さがあるというよりは、1人の演出家が注目されて共感を得ることだと考えられ、多数の苦労が報われることが気持ち良い」と付け加えた。

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