韓国ドラマの流行は「ゾンビ」から「退魔」へ? “退魔ドラマ”が次々と制作されるワケ

2021年01月13日 テレビ #韓国ドラマ

韓国ドラマが扱うジャンルが、ゾンビから“退魔”へと拡張されている。

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韓国的なヒーローを前面に押し出して悪霊退治に乗り出したドラマ『驚異的な噂』(邦題は『悪霊狩猟団:カウンターズ』)が人気だ。OCNで初となる2桁の視聴率に加え、ネットフリックスでも注目を集めている。

そんな勢いのまま、2021年も退魔をテーマとした多数のドラマが視聴者と会う準備をしている。

次々と登場する“退魔ドラマ”

(画像提供=OCN)ドラマ『驚異的な噂』

例えば、来る3月に放送予定のSBS『朝鮮駆魔師』(原題)は、悪魔払いファンタジー時代劇になるという。『朝鮮駆魔師』は、朝鮮を支配しようとする悪霊と、民を守るために対抗する人間の血闘を描いたドラマで、カム・ウソン、チャン・ドンユン、パク・ソンフンなどが出演する。

KBSの『大当たり不動産』(原題)は、人が死んだり、霊が出没したりする不動産を退魔し、きれいにする不動産仲介業者の話を盛り込んだドラマだ。現在、チャン・ナラとジョン・ヨンファが出演を確定させており、今年上半期の放送を準備している。

チャン・ナラ(左)とジョン・ヨンファ

他にもOCNが済州島を背景に隠された秘密を暴く退魔ファンタジードラマ『アイランド』(原題)を年内にリリースする予定。1997年にコミックスで発売され、2016年にNAVERウェブトゥーンを通じて19年ぶりにリメイクされた同名原作は、韓国を代表するオカルト作品としてマニア層に人気。ドラマはシーズン制の予定で、出演者としてはキム・ナムギル、ソ・イェジ、イム・シワンらが有力な候補に挙がっている。

多くの“退魔ドラマ”は、複雑な葛藤というよりは、善と悪が明確な勧善懲悪のストーリーとなっている。そして最近は、悪霊や鬼が物理的な対象として表現され、派手なアクションを描き出している。新型コロナの状況下では、痛快な満足感を得ることができるわけだ。

また“退魔ドラマ”にヒーロー、時代劇、生活密着型などが組み合わさり、新たな化学反応も起こしている。

「これまでできなかったジャンル」

(画像提供=OCN)ドラマ『驚異的な噂』

幽霊や悪魔を素材にした退魔ドラマは魅力的なジャンルであるだけに、これまでも多くの作品が存在してきた。ただ最近ほど、退魔を前面に強調した作品が次々と登場することは珍しい。

とあるドラマ関係者は、「幽霊や悪魔などは、韓国の視聴者が好きなテーマだ。そして韓国的なヒーローを退魔と組み合わせて見えると、さらに身近に感じるようだ」と話す。また別の関係者は「ジャンルもののテーマが拡張している。制作能力やシステム(CGなど)の構築が上手くいっており、これでできなかったテーマのジャンルドラマを高クオリティで実現できている。だから挑戦が続いている」と説明した。

ただ、悪霊や鬼などを単に素材の差別化や視覚的なものとして扱う偏った作品は、視聴者から選ばれることが難しい。さまざまな事情を通して家族、恋人、友人など、私たちが持っている普遍的な情緒を呼び起こしてこそ、多くの視聴者の共感を得ることができる。

また退魔ドラマには多くの“お約束”があるものだが、それを賢く使うことができず、お約束にとらわれ過ぎた作品も少なくない。当然、退魔ドラマが増えているだけに、ストーリーとキャラクターの差別化がない作品も光を見ることは難しいだろう。

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