中国の通販サイトAliExpress(アリエクスプレス)が、韓国攻略を本格化し始めた。
今や世界的な俳優となった肉体派俳優マ・ドンソク、Netflixの冠バラエティ『キアンの破天荒ゲストハウス』でBTSのJINとも共演したウェブ漫画家/タレントのキアン84、人気女性芸人のイ・スジを起用した広告キャンペーンを展開し、韓国での存在感を一段と強めている。
今回のブランドキャンペーンのタイトルは「私の好み、万能アリ」。韓国人に馴染みのある著名人を起用することで、ブランドの認知向上だけでなく、“個人の好み”を重視するパーソナルマーケティング戦略を前面に押し出している。
もともと同ブランドの広告塔だったマ・ドンソクに加え、イ・スジとキアン84が新たに参加。3人は世代を問わず幅広い層に親しまれており、AliExpressが掲げる「誰もが自分の好みに合ったものを見つけられる万能プラットフォーム」というメッセージを伝える役割を担っている。
今回のAliExpressのように、韓国の大衆文化に根ざした有名人を前面に押し出すマーケティング手法は、同社の“ローカライズ戦略”の進化版ともいえる。従来のように韓国語対応ページを提供するだけでなく、より深く韓国の消費者心理に寄り添う“ブランドの文化的同化”を意識したアプローチだ。
AliExpressは豊富な商品ラインナップと価格競争力を武器に、韓国でも急成長を遂げている。特に10~20代の女性を中心に高い購買転換率(サイトを訪れたユーザーの内、実際に購入した割合)を記録しており、今回のキャンペーンでその勢いをさらに加速させると見られている。
AliExpressの関係者は「今回のキャンペーンは、顧客一人ひとりの好みや個性を尊重するというブランド哲学を表現したものです」とした上で、「誰もが気軽に、楽しく、自分の好みにぴったり合った商品に出会える“万能力プラットフォーム”として、今後も消費者に寄り添う存在であり続けたい」とコメントしている。
このように、韓国攻略を着々と進めているAliExpressだが、その一方で課題も多い。
昨年はK-POPアイドルの偽グッズが大量販売されていることが問題視された。同サイトで「NewJeans」「IVE」など人気グループの商品を検索すると、偽グッズが大量にヒット。その種類も多岐にわたり、ブロマイドやペンダント、キーホルダー、Tシャツ、ニットキャップなど、さまざまなグッズが低価格で販売されていた。
ほかにも、今年に入ってからは“発がん物質”のアスベスト(石綿)が商品から検出されたと韓国の環境部(日本の環境省に相当)が発表している。
問題となったのはブレーキパッド8製品で、クリソタイル(白石綿、アスベストの一種)が2~10%含まれていたことが確認された。韓国では白石綿を1%以上含む製品の流通は原則禁止されている。
「信頼されるブランド」への道のりは、まだ始まったばかりだ。
■【画像】中国通販サイトでK-POPアイドル“偽グッズ”が大量発生
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