俳優キム・スヒョンが記者会見を通じて無念さを訴え、涙を流した。
キム・セロンさんの遺族側と「徹底的に争う」と宣言したも同然のキム・スヒョンの記者会見は、異例にも弁護士ではなく本人自らが登壇し、無念な心情や主要争点への反論、そして法的対応の予告までを語った。
それだけに、相当な覚悟のもとで準備された発言だったことは明らかだ。会見後、彼の発言は繰り返し取り上げられ、注目を集めている。
その内容を見ていこう。
―「私は自分自身を臆病者だと思っている」
キム・スヒョンは、自分に向けられる好意すら信じることができず、常に何かを失うのではないか、損をするのではないかという恐れから逃げたり、不満をぶつけたりしていたと語った。
だからこそ、この場に立つまでに長い時間がかかったと明かした。
彼は、自分とキム・セロンさんの私生活が暴露されるたびに、「明日もうすべてを話そう。自分の口で話して、この地獄のような状況を終わらせよう」と思い続けていたという。しかしそのたびに、自分の決断が周囲に与える影響を恐れ、ためらっていたと付け加えた。
―「“スター”キム・スヒョンだからこそ…また同じ選択をするだろう」
キム・スヒョンは、キム・セロンさんとは5年前に約1年間交際していたとし、未成年交際疑惑を否定した。
彼は「ドラマ『涙の女王』が放送されていた当時、主演俳優として守るべきものがあまりにも多かった。そのとき、もしも数年前に交際していた人との関係を認めたら何が起きるか。共演者たち、現場で夜通し働くスタッフ、すべてを賭けた制作会社、そして所属事務所の仲間たち。みんなにどう影響するのか。そうして、“人間キム・スヒョン”と“スターキム・スヒョン”の選択が分かれるたび、私はいつもスターキム・スヒョンの選択をしてきた」と明かした。
続けて「もし『涙の女王』放送当時に戻ったとしても、私は同じ選択をするだろう」とし、その理由について「自分の気持ちが楽になるからといって、あの決断を勝手に下してもいいのだろうか。私にはそれは許されないと思った。それが今のキム・スヒョンとして人生を選んだ人間が負うべき責任だと思った」と説明した。
しかしこの発言には、「今回の記者会見でも、“スター”キム・スヒョンとしての立場を守るために嘘をついているのでは」という疑念が生じており、自己矛盾だとの批判も出ている。
―「故人は別の人と交際していた」
キム・スヒョンは、キム・セロンさんが飲酒運転事件の前後に自分のせいでつらかったと聞いたことはあるが、当時のキム・セロンさんは別の相手と交際していたと認識していると述べた。
これは、自分が彼女に連絡を控えていた理由の一つだという。
キム・スヒョンは「お互いすでに別々の人生を歩んでいるなかで、何をどう言えばいいのかわからなかった。しかし遺族は、私が元恋人だったという理由で、彼女を死に追いやったと主張している。そして、私がやってもいないことを自白しろと強要している」と無念さを滲ませた。
続けて、自身の所属事務所ゴールドメダリストのピョン・ジンホ前代表と、キム・セロンさんが最後に所属していた事務所ラン・エンターテインメントのコ・スンア代表との1年前の通話録音を公開した。
当時、ピョン・ジンホ前代表はラン・エンターテインメント側に「これは行政手続き上、送らざるを得ない状況だ。送らなければ私が背任になる。回答書の部分では、期間を大まかに設定して“この期間内にこうやって返済する”と出してもらえれば、我々としてもそういう法的な建前を満たすことになるので、口頭ではゆっくり返してもらって構わないとは言えない。その点をキム・セロンさんにもよく説明してあげてほしい」と説明した。
これが、キム・スヒョン側が主張する「第2の内容証明」に関する真実だという。
―「やっていないことを、やったとは言えない」
キム・スヒョンは、遺族側が主張する音声は事件が暴露された後に新たに録音されたものであり、カカオトークの内容も同様だと主張した。
そして、「もしも相手が故人本人ならば、私と故人の年齢差を間違えるはずがない。4年間所属していた事務所の名前や契約期間を間違えるはずもない。故人は、私たちの会社では専属俳優としてのみ活動していた。新人キャスティングやビジュアルディレクションを担当した事実はない」と強調した。
また、遺族側が公開した2016年および2018年のカカオトークにおいて、故人と会話している人物はそれぞれ別人であるとし、それらの内容をカカオトークの科学的な供述分析を行う検証機関(陳述分析センター「Trubaum」)に提出したと明かした。
ただし、これまでの事例(例:チョ・ジュビン事件)から、この機関の信頼性については議論が分かれているのが現状だ。
キム・スヒョンは「私の選択に対する批判はどんなものであっても受け入れる。しかし、だからといって事実でないことがすべて事実になるわけではない」と述べたうえで、「私がカカオトークの内容について検証手続きを踏んだように、遺族側が証拠として出しているすべての内容についても、捜査機関を通じて徹底的に検証できる手続きをとるつもりだ。遺族側の証拠が本当に真実であるならば、捜査機関にすべての資料を提出し、法的手続きを通して検証を受けてほしい」と求めた。
さらにキム・スヒョンは「自分がやったことは、やったことだ。それについては、どんな非難でも受け入れる」としながらも、「しかし、やっていないことはやっていない。信じてくれとは言わない。必ず証明する」と付け加えた。
なお、キム・スヒョンは3月31日、ソウル・麻浦(マポ)区のスタンフォードホテルにて、キム・セロンさんの死と関連する未成年交際疑惑などに関する記者会見を開いた。
この場には、法律代理人を務めている法務法人LKB&パートナーズのキム・ジョンボク弁護士も同席した。
先立って、キム・セロンさんの遺族は、故人が未成年だった15歳から成人であるキム・スヒョンと6年間交際していたと主張。また、所属事務所ゴールドメダリストが所属俳優だったキム・セロンさんに対し、7億ウォン(約7130万円)の借金返済を迫ったとして謝罪を求めていた。
しかし、キム・スヒョンは記者会見を通じて、これらの争点をすべて否定。特に、キム・セロンさんと未成年時代に交際していなかったこと、事務所がキム・セロンさんに借金を理由に圧力をかけていなかったことを強調した。
また、キム・セロンさんの遺族、“叔母”を名乗るA氏、さらにはYouTubeチャンネル「カロセロ研究所」を相手取り、訴訟に踏み切る方針を明らかにした。損害賠償請求額は120億ウォン(約12億2360万円)に上る。
(記事提供=OSEN)
◇キム・スヒョン プロフィール
1988年2月16日生まれ。2011年に放送されたペ・ヨンジュン企画のドラマ『ドリームハイ』(KBS)で一躍人気を集めた。日本でも大ヒットしたドラマ『星から来たあなた』で演技力が高く評価され、アジア各国で不動の人気を誇っている。内向的な性格を心配した母親から演劇を勧められたことをきっかけに、俳優を志すようになった。
◇キム・セロンさん プロフィール
2000年7月31日生まれ。9歳から子役として活動を始め、スクリーンデビューとなった2009年公開の主演映画『冬の小鳥』では孤児院に捨てられた少女を熱演。カンヌ国際映画祭に韓国の役者史上最年少で招待された。2010年の『アジョシ』ではウォンビンと共演し、大韓民国映画大賞新人女優賞を最年少で受賞。2019年に韓国で放送されたドラマ『レバレッジ:詐欺操作団』では、凄腕の女泥棒役を見事に演じて魅力的な姿を披露した。2022年5月18日に免許取り消しレベルの泥酔状態で運転して事故を起こし、活動を自粛。2025年2月16日、24歳でこの世を去った。
■【画像】「キスして」キム・セロンさん遺族、キム・スヒョンと故人のやり取り公開
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