JTBCドラマ『夫婦の世界』が、韓国で話題を振りまいている。初回視聴率は6.3%でスタートし、第4話が14%を突破の右肩上がり。緊張感あふれるストーリー展開と、どんでん返しで視聴者を魅了しているのだ。
『夫婦の世界』は不倫ドラマのクリシェ(陳腐な考えや状況)を踏襲しているが、批判の声はあまり見受けられない。“完璧に”具現化したクリシェは「クラシック」と感じられるからだ。
本作はまず、配偶者の不倫を知りながらも「簡単には別れられない」というクリシェがある。
韓国において結婚とは家と家の結合であり、子供が生まれれば新しい世界が始まる。相手の不倫が分かっても、子供へのダメージを考えて目をつぶる場合がほとんどだ。
劇中、妻のチ・ソヌ(演者キム・ヒエ)も、夫イ・テオ(演者パク・ヘジュン)の不倫を知って「正直に言ってくれれば、許せる気がする」と、チャンスを与えた。そして必死に嘘をつき通す彼の態度にガッカリしたソヌは、自身が築いた完璧な世界に亀裂を入れた彼に復讐を誓う。
もう1つのクリシェは、夫の典型的な言い訳だ。
劇中のイ・テオは、能力と財力を兼ね備えた妻による社会的成功を手放せない上に、若くてきれいな女性を通じて男として認められたい気持ちを持つ強欲な人物だ。
妻に不倫がバレては「恋に落ちるのが罪ではないだろう!」と逆切れする自称ロマンチストだが、チ・ソヌは「女も不倫のやり方くらい分かってる。ただ、夫婦としての信義を守って生きるのが正しいと思うから自粛するだけ」と信念を述べることで、夫の行為をはっきりと批判した。
最後のクリシェは、不倫相手の女性が堂々と挑発まがいの発言をすること。
「あの人は私のことを愛している」とは、不倫相手が決まり文句だ。劇中のヨ・ダギョン(演者ハン・ソヒ)も、チ・ソヌに対して優越感を抱き、イ・テオとチ・ソヌは“仮面夫婦”と発言した。ただ、24歳のヨ・ダギョンには計り知れないのが夫婦の世界である。
このように、不倫ドラマのクリシェを踏襲した『夫婦の世界』が絶賛される理由は、刺激的な素材よりも、その裏側にある夫婦の関係性にスポットをあて、繊細に描いているからだ。他人同士が一生を一緒に暮らす結婚の複雑さに迫る、『夫婦の世界』の今後の展開に注目が集まる。
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