「“推し(最も好きなグループやメンバー)“と私たちを守るために応援棒(ペンライト)を持ってきました」。ロウソクよりも明るく輝くK-POPアイドルグループの応援棒。その存在感は夜が深まるほどに際立っていた。
aespaの『Whiplash』、DAY6の『Welcome to the Show』、G-DRAGONの『Crooked』、少女時代の『Into the New World』といった曲に合わせ、K-POPファンダムの絆で固く結ばれた10代・20代の参加者たちが、力強い声で「尹錫悦(ユン・ソンニョル)退陣」を叫んだ。
12月3日の非常戒厳令事態を受け、尹大統領の弾劾を求めるロウソク集会が連日国会前で開催されている。
12月7日の夜には、尹大統領に対する弾劾訴追案の可決を求め、主催者発表で100万人以上の市民が国会前に集結した。参加者たちは「内乱罪 尹錫悦退陣」などと書かれたプラカードを掲げ、「国民の命令だ、尹錫悦は退陣せよ」と声を上げた。
そんな中でひと際目立ったのが、アイドルファンの象徴である応援棒(ウンウォンボン)ことペンライトだった。
キャンドルの間で応援棒は異彩を放つ発光力を見せていた。2016年の朴槿恵(パク・クネ)元大統領の退陣を求めるデモと比べると、明らかに雰囲気は異なる。
若い世代が参加した今回の集会では、流行のアイドルソングに合わせて大合唱したり、踊ったりする姿も見られた。
各自がカスタマイズした「応援棒デコレーション」も注目を集めた。特にNCTのファンが「弾」「劾」と書かれたステッカーを貼った応援棒はSNS上でも話題となった。
集会に参加した19歳のイさんは「先週、この応援棒を持ってNCT DREAMのコンサートに行きましたが、まさか今週はデモに持ってくるとは思いませんでした」と話し、「推しの名前をつけるところに“弾劾”を貼りました」と語った。
また、「メンバーたちは現在、軍隊にいます。戒厳令が発令されれば軍が動員されるので、ファンとして心配しないわけにはいきません」と、集会参加の理由を説明した。
続いて、17歳のZEROBASEONEファン、キムさんは「応援棒は高価なので買うか迷ったけれど、こんなふうに活用することになるとは思わなかった。持ちやすいし、コンサート会場用なので夜になるとすごく輝く。買ってよかった」と笑った。
この様子を見た市民たちは、「アイドルファンの熱気に驚いた」と述べ、応援棒でカラフルに輝くデモを歓迎するムードだった。
アイドルファンたちは「X(旧Twitter)」を通じて交流し、小グループで集まった。
「アイドルオタクが『ミュージックバンク』以外で汝矣島(ヨイド)に行くことがないようにしてほしい」
「音楽番組の公開収録を失ったファンたちがどこに行くのか見せる」
「私たちはデモに特化した人材だ」
といった投稿とともに、応援棒を持って集会に参加した写真が多く投稿された。g.o.dやSHINeeといった「懐かしのアイドル」たちの応援棒を久しぶりに取り出した人々もいた。
また、コンサートや音楽番組の事前収録を待つ間に生み出された寒さ対策、トイレを我慢する方法をリアルタイムで共有したり、応援棒用の「弾劾」の文字デザインをシェアするなど、情報交換も活発だった。
集会現場ではカイロやお菓子を分け合い、「応援棒を使った集会写真を投稿すると無料ドリンククーポンを配布する」といった案内も見られた。
海外メディアもこの現象に注目している。『AFP通信』は「K-POPが流れる中で参加者たちが楽しそうに跳ね回り、色とりどりの応援棒やLEDキャンドルを振るなど、一部のデモはダンスパーティーを連想させた」と報じた。
さらに、「コンサートでは応援棒が推しを応援する心を込めた光である一方、ロウソク集会では推しとその推しを応援するすべての人、さらにはすべてのファンたちの平和と安寧を祈る光として輝いている」と伝えた。
集会ではそれぞれの「キャンドル」を手にしたが、心は一つだった。尹大統領に対する弾劾訴追案は否決されたものの、多くの人々が「この集会を通じて次の希望が見えた」と口を揃えて語っていたのが印象的だった。
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