韓国最大の芸能事務所HYBEの傘下レーベルで、NewJeans(ニュージーンズ)の所属事務所でもあるADORがミン・ヒジン前代表を代表職から解任して以降、迷走を見せている。
【写真】NewJeansの表情は…ミン代表解任後、初の公の場
『Ditto』や『ETA』などのミュージックビデオを手がけた制作会社「Dolphiners Films」のシン・ウソク監督と“舌戦”を繰り広げ、NewJeansのメンバーたちは心境が複雑だと吐露した。
ついにはNewJeansのファン「Bunnies(バニーズ)」もミン・ヒジン前代表の任期を保障せよと書簡を発送した。ADORのキム・ジュヨン代表が選任されてから、わずか1週間で起きた出来事だ。
ADORの理事会は8月27日、ミン・ヒジン前代表を代表職から解任し、キム・ジュヨン社内理事を新しい代表として選任した。
ADOR側はミン・ヒジン前代表がNewJeansのプロデュースをそのまま担当すると発表したが、ミン・ヒジン前代表は「“毒素”条項が含まれた」と主張し、プロデュース業務委任契約書への署名を拒否して反発している。
ミン・ヒジン前代表は解任させたが、HYBEは世界的な人気を集めているNewJeansとの同行の意思を公然と表明してきた。だが、キム・ジュヨン代表体制は慌ただしい雰囲気を解消できない様子だ。
内紛で混乱した状況で、HYBEとミン・ヒジンの葛藤がNewJeansのミュージックビデオコンテンツが掲載された外部SNSアカウントをめぐる「場外争い」にまで広がった。
ADORはNewJeansのヒット曲『Ditto』や『ETA』などのミュージックビデオを演出したシン・ウソク監督と不必要な葛藤を引き起こした。ただでさえ不安定な時期に、NewJeansのメンバーとファンの不安を刺激する結果になったという声も出ている。
そもそもシン・ウソク監督はミン・ヒジン前代表との協業を通じて、初めてアイドルのミュージックビデオを制作した。シン・ウソク代表は先立って、ミン・ヒジン前代表のADOR解任に反対する嘆願書に参加したりもした。
制作会社Dolphiners Filmsは、『Ditto』『OMG』『ETA』などのミュージックビデオを演出する過程で、NewJeansファン「Bunnies」の名前を利用した「パン・ヒス」というチャンネルを作った。
パン・ヒスという人物の視線で撮影されたメンバーたちの姿を撮った映像を掲載したのだ。パン・ヒスは『Ditto』のミュージックビデオでNewJeansをビデオカメラで撮影する人物でもある。
ただ現在、「パン・ヒスチャンネル」の映像は、すべて削除された状態だ。最近公開された『ETA』ミュージックビデオのディレクターズカット版も削除された。
これに対してADORは「Dolphiners Filmsが自主SNSチャンネルに載せた『ETA』ミュージックビデオのディレクターズカットは、過去に広告主とも異見があった部分が含まれた編集物で、広告主と協議なしに無断で掲示された」と立場を伝えた。
しかしシン・ウソク監督は「常識的に、世の中に自分の作品を自ら燃やしてしまう監督がいるだろうか。私がそんなことをする理由がどこにあるのか」と反問。「パン・ヒスチャンネルは、私が演出した『Ditto』という作品の延長線上にあり、ADORのために自ら進んで、何の報酬もなしにファンのために作ったチャンネルと映像だった。それなのに今さら私が突然、何の動機もなしに、すべて削除したというのか」と不快感を表わした。
ミン・ヒジン前代表の解任後、NewJeansメンバーまで苦しい心境を吐露しており、ADOR内部の雰囲気はさらに重苦しいものになっている。
NewJeansのダニエルは9月2日、ファンコミュニケーションプラットフォーム「Phoning」を通じて「事実、(ミン・ヒジン)代表が解任され、いろいろと大変で悩みが多くなった。しばらくの間、少しメンタル崩壊状態だった。とても不安だった」と伝えた。
ミンジも同日、「今日はこんなことがあった、あんなことがあったと全部言ってあげたかったが、それができなくなってから、もう1週間ほどになる」とし、「訪ねてきてくれ、心配してくれ、慰めてくれる多くのBunniesに大丈夫だと言って慰めてあげたかったが、今回は自信がなかった」と吐露した。
NewJeansのミュージックビデオが削除され、メンバーまで動揺を見せると、ファンが立ち上がった。
NewJeansファンと明らかにした1445人は9月4日、ADORのキム・ジュヨン代表、イ・ギョンジュン、イ・ドギョン社内理事、キム・ハクジャ社外理事、HYBEのイ・ジェサン新任CEO(最高経営責任者)の宛名で書簡を発送した。
彼らは「NewJeansが短い期間に成し遂げた成果は、経営と制作の緊密なシナジー効果によるものだと考えており、実際に結果でこれを証明した」とし、「私たちはADORの設立とNewJeansのデビュー直後から、ミン・ヒジン前代表の下に構築されたNewJeansの成長と支援に焦点が合ったADORの人材と体系が変更・毀損されることに対して憂慮する」と明らかにした。
続けて「3年目で成長中のNewJeansにとって今はとても重要だ」とし、「NewJeansが下半期のアルバム制作と来年のワールドツアー計画・準備を控えた状況で、業務能力が証明されたミン・ヒジン前代表を排除し、エンターテインメント業界の経歴もなく、経営能力が立証されてもいないキム・ジュヨンHYBE CHRO(最高人事責任者)を後任代表に選任した決定は常識的に納得しにくい」と指摘した。
NewJeansファン1445人は、HYBEとADORを相手に▲NewJeansの関連事項はメンバーの意見を最優先で反映させること、▲株主間契約にともなう2026年11月までミン・ヒジンの任期を保障すること、▲NewJeansメンバーに対する名誉毀損・侮辱・個人情報流出などに対する法的対応をすることなどを要求した。
一部からは、HYBEが強硬にばかり出るのではなく、NewJeansメンバーとファンの心を慰め、ミン・ヒジン前代表との交渉のテーブルにつくべきとの声も上がっている。
とあるK-POP界の関係者は「HYBEはミン・ヒジン前代表と訴訟中ではあるが、NewJeansも『ママ』と呼び慕った人物であるだけに、ファンもやはりミン前代表に対する信頼が厚い。代表職から解任したとしても、内部的にミン前代表との葛藤を解消することが優先と見られる。そうしてこそ、ファンの心をつかむことができるだろう」と話した。
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